反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) (詳細)
湯浅 誠(著)
「貧しい人も「人」である」「クールでホットな市民的行動への誘いの書」「「自己責任」なんて言葉は死語になればいい」「キーワードの「溜め」について」「湯浅誠が東京都知事になればいいのに・・・」
14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に (詳細)
宮台 真司 (みやだい しんじ)(著)
「宮台本の集大成」「これほどまでにやさしく、難しく、深い本は無いと思う。自然な心になれる本」「「愛」と言うのも嫌だけど、すなおにこもっている」「今年度最高の1冊」「14歳だけではなく、大人も。」
「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) (詳細)
山田 昌弘(著), 白河 桃子(著)
「諸悪の根源は日本の男」「極狭い社会での出来事では?」「統計とルポから読み解く今時の結婚事情」「白河桃子のルサンチマン?」「 「結婚したいのに結婚できない」苦い現実を明らかにした、必読の現代結婚事情案内」
子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書) (詳細)
阿部 彩(著)
「「貧困」を「子ども」中心の視点で論じた本」「日本は子どもを大切にする?」「「少子化政策」の誤りを突く」
「過去が現在を照射する」
セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか? [宝島社新書] (宝島社新書) (詳細)
門倉貴史(著)
「今まで数値化されなかった部分が明らかに」「日本人の性行動と経済」「所得格差問題と少子化問題をつなぐもの」「少子化の背景とは?」「興味深い内容」
17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義 (詳細)
松岡 正剛(著)
「日本文化再発見の手がかりとして・・・」「17才向けとしては難しいが、良書」「17歳のための、の文句は必要ない」「歴史の面白さを凝縮したセレクション」「情報は繋がることによって・・・理解が構築される」
3つの原理―セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす (詳細)
ローレンス・トーブ(著), 神田 昌典(監修), 金子 宣子(翻訳)
「かつてのヒッピー思想の生き残り(?)」「極めて斬新な未来予測論」「世の中の現象、会社で今起きている現象が見事に説明がつく」「ローレンス・トーブの考え方が理解できる」「一度じゃ分かりません・・・」
「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ (詳細)
本田 由紀(著), 後藤 道夫(著), 中西 新太郎(著), 湯浅 誠(編集), 河添 誠(編集)
未来を予見する「5つの法則」 (詳細)
田坂 広志(著)
「内容が重複してますのでご注意を!」「器の大きな人物になるために。」「わくわくする未来予想」「未来を知るのには?」「予見能力を自分のものにするには」
・「貧しい人も「人」である」
暴論じみたタイトルだが、本書冒頭に登場する、貧しい人への役所、企業(驚くことに教会も)など世間の冷たい対応を読んでいて、いかに「貧しい人を人として見ない」この社会が冷たいかを感じた。本書の中には、生活保護申請の話が何度も出てくるが、申請者一人だと、役所の担当者に時に嘘さえつかれて一蹴される。申請を却下され、遺書に担当者への恨みをつづり自死する人さえいる。しかし、著者ら支援者が入ると態度が一変する。恥ずかしいことだが、自分を含め、貧しい人を下に見てしまう感情を多くの人がどこかで持っていて、知らず知らずのうちにそれが態度に出てしまう。当たり前だが、彼らも感情を持って、それをビビッドに感じ傷ついている。著者も言うし、以前から言われることだが「無関心」が貧困の最大の敵なのだ。
本書では生活保護受理がいかに厳しいか、体験談などを中心に展開しているが、私は貧困者を対象にした「貧困ビジネス」に強い関心を引かれた。中でも日雇い人材派遣のエム・クルー社のすさまじいピンはねぶりには驚いた。仕事は1万3000円で請け負っているのに、拘束10時間以上(実働8時間)で7700円、交通費、食費を引くと5000円あまり。休みなしで1ヶ月働いても16、7万円。タコ部屋みたいなこともやっていて、泊まれはするが、いろいろな名目で金が取られ、結局そこにいて働かざるを得なくなるというやつ。それでいて「再チャレンジを支援する社会的企業です」みたいな言い方をするから腹も立つ。弱い人を食い物にするなといいたい。
本の内容に劇的な面白さはないが、「反貧困」というメッセージはしっかり伝わってきた。
・「クールでホットな市民的行動への誘いの書」
貧困はつねに隠されている。その存在は誰にとっても都合が悪いものだからだ。 筆者は日本における貧困層の存在を、豊富な統計的なデータを援用しつつ、自らの支援経験もそれに重ね合わせながら、冷静かつ客観的に明らかにしていく。こうした説明によってこれまで見えなかった貧困問題が見えるようになった私は、まさに蒙を啓かれる思いがした。 しかしそれだけなら「学者」にもできる。筆者の強みは社会からはじき出された人たちのさまざまな声に、ずっと耳を傾けてきた貴重な体験にこそある。それゆえ、この本で紹介されている多くの人たちの発言には、筆者の熱い思いが同時に込められることになり、単なる事例紹介を超えたある種の感動を与えるものになっている。 最後の部分で筆者は、すぐにこの本が古びてしまうという代償を払って、反貧困運動の現状分析を試みている。それは日本の反貧困運動がまだスタートラインにすら達しておらず、いま多くの人たち(つまり、読者たち!)が自分にもできる市民的行動をしなければ、こうした運動自体が雲散霧消してしまうという危機感によるもののように思われる。 強度の大きい橋は、最も弱い部分が補強されているものである。つまり筆者の言う「強い社会」を目指すのであれば、最も弱い人たちをその周りの人々が支えなければならないはずなのである。こうしたいわば当たり前の認識が欠如した社会には、たとえそれがどんなに経済的に豊かだと言われていたとしても、個人的には住みたくはない。この本を読んで、私は素直にそう思った。
・「「自己責任」なんて言葉は死語になればいい」
著者の「貧困はあなたのせいではない」という優しい主張が強く伝わってくる本。特に、あとがきの「誰かに自己責任を押し付け、それで何かの答えが出たような気分になるのは、もうやめよう。」(P224)という箇所に激しく共感。今必要なのは、貧困問題の被害者同士の足の引っ張り合い(「生活保護の受給者よりワーキングプアの方が苦しんでいるから、生活保護水準を引き下げろ」という戯言とか)ではなく、おぞましい自己責任論にNOをつきつける事だと思いました。まえがきの相談者の様に、貧困は自己責任だと自分を責めている方は、なんとかして絶対に本書を読むべきです。貧困が誰にとっても他人事ではなくなった昨今、現在貧困に苦しんでいる方だけではなく、自分がどん底に転げ落ちた時に見殺しにされたくないという方にも一読をオススメします。
・「キーワードの「溜め」について」
時給700円のコンビニでも一日10時間働けば7,000円,月に25日働けば175,000円になる。1人暮らしならば十分やっていけるじゃないか,(実際,自分はそれ以上働いているし)貧困者は忍耐力と努力の足りない人間だ,と私はまさに自己責任論で貧困問題を眺めていた。が,この本を読めばその認識は覆される。
この本のキーワードの1つは「溜め」である。これをアマルティア・センのいう「潜在能力」に似た概念と筆者は言う。金銭的な「溜め」にとどまらず,友人や家族という人間的な「溜め」,自分への自信などの精神的な「溜め」などを通常我々は持っている。社会保障などのセーフティーネットもその「溜め」の1つであろう。これは何か突発的なことが起こった時の緩衝材の役目も果たす。多くの貧困者はこの「溜め」がないために,病気などを契機に一直線に滑り落ちていくのである。
この話は身につまされた。現在,私は何とか家族を養っていけるほどの収入があるが,これまで貧困者へ転落する危機が何度かあった。たまたま運良く「溜め」があったおかげでそうならずに済んだだけである。
そして今の社会は意識的・無意識的に「溜め」をどんどん無くしていっている。しかし社会の制度としての「溜め」は,「健康で文化的な最低限度の生活を営む」うえで不可欠である。「溜め」の社会的な整備が必要であるが,わが国ではまだそのスタートラインにも立っていないという危機的な状況にあることを,筆者は冷静な筆致だが,熱く伝えてくる。良書である。
・「湯浅誠が東京都知事になればいいのに・・・」
東大法学部大学院を卒業しながら、弁護士にも公務員にもならず、反貧困活動に全身全霊で取り組んでいる湯浅さんはやはりかっこいい・・・・。
文章を読んでいてぞくぞくします。
そこらの大学教授だとか、評論家が御託を述べるのとは異なり、湯浅さんの文章には最前線でこの国の奈落・誰も見たくない現実と格闘してきた人の強さと優しさがあります。
こういう人こそが日本人の光でありましょう。反貧困ネットワークも「だめ連」みたいなオルタナ系で終わらず、この国の未来とダイレクトにつながる「主流」になって欲しいと思う。
・「宮台本の集大成」
この本は、社会学の入門書の体裁を取ってはいるけれども、絶望しつつも愛して止まない「人」と「社会」への、何よりそんな「人」と「社会」を生んだ(含めた)「世界」への、宮台先生による究極の愛の告白本だと思う。
今の日本社会で、このような本に出会えることのできる14才は、内容を全て理解できるかどうかは別として、とてもラッキーで幸福なことだ。そして、うらやましく思う。
では、今まで「承認」に見放され続け、今なお右往左往している、僕のような30男は、この本をどう読めばよいだろうか?
残念ながら、手っ取り早い処方箋は示されていなくて、コツコツ努力して、自由と尊厳を獲得していくしかない訳だけれども、一つだけ大きなヒントが見つかった。
「社会」から「承認」されるかどうかは、相手あってのものなので、究極、自分では決定できない。
もちろん、「社会」から「承認」されるための努力は意味のあることだし、意味のあることにしなければならない。
しかし、「世界」の方は、常に僕たち自身を「承認」しているはずだ。
なぜなら、期待と願望の振り子に踊らされ、どれだけ絶望し、どれだけ空虚になったとしても、僕たちは、今なおこうやって存在し、”生きている”からだ。
・「これほどまでにやさしく、難しく、深い本は無いと思う。自然な心になれる本」
本書を通して、著者の「社会」と人間に対する深い愛を感じる時間を持つことができた。
事前に記載された答えに合わせる思考をあたりまえとしてしまう前に、ぜひ本書の対象にある若い人たちに読んで欲しいと思った。
しかしながら、14歳という年令からは離れた「私」にとっても、感染を引き起こす素晴らしい本だった。
頭を回転させながら、思考しつつ、興奮を覚えるような幸せな時間。そんな感覚が得られる。
生き方、やりがい、成果、目標。ライフプラン。そういう「大人」の悩みが心から離れない人にもぜひオススメである。
人生の答え。生き方。
(著者が対象とした年代・意向とは違うのだろうとは思うが、、、)こうしたものを見つけたいと思っている方、悩んでいる方、ぜひこの本を手にとってみてはいかがだろうか。
そこに本当の「人生」が待っている。そんな気がしている。。
・「「愛」と言うのも嫌だけど、すなおにこもっている」
誰もがぶつかる問題をやさしく説き起こし、かつそれを現代という、不可視の時代から解説してくれている。嫌味がなく、しかも説得力があるのは、宮台さん自身の経験がすなおに語られ、「こんなスゴイ人でも、同じように悩んだんだ」というのが身近に分かるからだろう。つまり、地に着いた思想というものではないだろうか。以前の宮台さんは、小理屈をこね回しているというイメージだったが、変わったのはやはり、子どもができたことではないだろうか。一皮向けたんだろう、と生意気ながら思うのだが、決して止まることのない意識、これこそ思想家の本懐だと考える。難を言えば、横書きの文字組みでスカスカのレイアウト。内容のわりに薄っぺらく感じてしまう。でも、そこまで計算しているのだろうか。
・「今年度最高の1冊」
この本を読んでいる時間がとても幸せでした。
・「14歳だけではなく、大人も。」
平均的な中学生には難解かも。高校生であれば読解できると思う。中高生が読んでもいいが、大人に読んで貰いたい。この社会を作っているのは大人なのだから。
宮台氏の言いたいことは分かるが、現実は違う方向への力学が働いていると思う。ゆとり教育によって却って受験産業が潤った。学歴社会は形を変えて生き残っている。正規雇用の過重労働、フリーターや契約社員の状況の厳しさなどを考えれば、「いい感じ」に仕事を選択するのは困難だ。(例として挙げられている地方公務員だって、最近は怪しい。)余裕がある社会的領域がどんどんなくなってきている。
そうは言うものの、本誌を読めば、社会とは何か、社会学とはどういう学問かが手に取るように分かる。社会の在り方を考えるきっかけとして本書を薦めたい。
・「諸悪の根源は日本の男」
山田氏の執筆している章については、非婚化が進む現代社会の状況説明が簡潔になされており、非常に興味深く読むことができました。
しかし、白河氏のパートが酷すぎます。彼女の主張はただ一つ「非婚化の原因は日本の男が駄目だから」でしか無いようです。色々と取り繕うことも書いてありましたが、あきれて読むのを止めようかと思いました。
山田氏は共著をするなら、きちんと相手を選んでください。
・「極狭い社会での出来事では?」
結婚も就職活動のように、自分を磨き積極的にアピールしないとできない時代だという。そのためには、男はもっと自分を磨き、積極的にアピールするべし。女は自分を磨きすぎず、理想ばかり求めない。というような趣旨が書かれている。
しかし、本来の自分ではない部分をアピールして結びついたカップルが、その後数十年続くであろう結婚生活を、幸せに過ごせるのだろうか?すべての男性が、女性を引き付けるいいい男になることを目指し、すべての女性が、男性に魅力を発するいい女になったらどうなるのだろう?。まさに、マニュアル以外のことは想定外という、画一化された異常な結婚市場が創出されてしまう。
実際の結婚はもっと自然だ。多くのカップルの出会いは、半ば偶然に近いきっかけから始まっているのが現実ではないだろうか。
本書に書かれていることは、実に狭い世界の例ばかりだ。丸の内OL、高学歴総合職、留学経験あり、外資系、イケメン、超年齢差婚(夫が年下)・・・等。確かに、雑誌やネットの情報を元に、理想の結婚を目指して邁進している人たちは存在するだろう。本書は、そんな狭い世界の男女を取り上げて一般化しているに過ぎないように思える。特に共著である白河氏の部分は、ほぼそんな調子だ。学者の山田氏も白河氏の論調に引っ張られてしまっている。
世の中の一部には、「こんなに狭い結婚への価値観しか、もてない人たちがいるんだ」と知らされた意味では面白かった。
・「統計とルポから読み解く今時の結婚事情」
「パラサイトシングル」「希望格差社会」と、次々に新しい造語を作り、かつ世間に流行らせる社会学界のキーワードメーカーこと山田昌弘氏の新刊はジャーナリストの白河桃子との共著。
今回のターゲットは結婚活動、略して「婚活」。「負け犬」(30代以上の独身女性)や中年童貞の存在が確認されるとおり、現代では積極的に活動でもしなければ結婚なんて夢のまた夢へと成り果てている。本書はなぜ「婚活」が必要になったのかという時代的背景を迫る前半と、男も女ももはや待っていても誰も見初めてはくれない、一億総狩猟社会となった日本で(あるいは海外へと飛び出して)、すてきなパートナーをゲットするための指南書ともいえる後半の二部構成といえる。
結婚するのになぜ婚活が必要になったのか。山田氏の定義でいう「婚活」前時代には、男は仕事しかできず(家事はしなくてもいいという観念)、女は家事しかできなかった(雇用における男女の不平等)。だから、生きていくために男女がお互いのための必要材であり、結婚=同居は必要だった。しかし、価値観の変化や雇用制度の自由化によって、男だって家事ができるし、女だってちょっとがんばれば働いて一人前に暮らせる時代がやってきた。要するに、男の独身も女の独身も、一人で夫婦二人分の能力がついてしまったが故に、結婚が生存条件ではなくなったのだ。結婚が必ずしも必要ではなくなった後、それでも誰かと結婚するとなると「よっぽど価値観が合わないとしんどい・・・」という具合になり、二の足を踏んでしまうわけ。
また、今話題の「アラフォー」世代への福音とも言える「四十才からが結婚適齢期?三十五歳からの婚活」という章も!なんでも最近では、「熟年再婚市場」や「過去縁」など、アラフォーに至ってもまだまだ婚活は間に合うようなチャンスがある時代なのだそうだ。ただこの辺は、「AERA臭」がプンプンするので、話半分に読んでおいたほうがいいのかもしれない。
一番面白かったのは、山田氏と白河氏両者の見解が分かれている箇所である(そのことは山田氏自身も「矛盾」と指摘している)。白河桃子が第4章で男が結婚できない理由の一つとして、雑誌の男の好きな異性アンケートなどで人気女優に票が一極集中する例を挙げ、「ビジュアル要求が高すぎ!」ということ、つまり「男は面食いすぎて結婚できないんだよ」と述べているのに対して、その次の第5章で山田昌弘は、男が「女性を美人度で選んでいるわけではな」く、「ほとんどの女性が、外見上、誰かの結婚相手のターゲットに入る」といっており、この二人の著者の間でも見解が分かれている。男の私からすれば、山田氏の意見に賛同したいところだが、実は白河氏の言っていることもあながち間違いではない。
この二人の見解の相違こそが、「見た目で選ばないでよ!」「見た目だけじゃないんだ!」という、女と男の普遍的なすれ違いの縮図なのかもしれない。
いつでも結婚できるとたかくくってるとこうなるよ、という実践的ルポがこちら↓ 崖っぷち高齢独身者 (光文社新書 354)
・「白河桃子のルサンチマン?」
山田氏は研究者らしくフェアな議論を志向していることがわかるが、白河氏は30代独身女性の直感を立脚点にしているためだろう、白河氏の章になると彼女自身のルサンチマンでは?という部分により説得力が失われているように感じられる。彼女が挙げる男女それぞれの結婚できない理由の多くはお互い当てはまるにも関わらず一方的な視点を崩していない。良く言えば独身(キャリア)女性の代弁者ということになるのだろうが、ジャーナリストと言うには厳しい。山田氏はなぜ彼女と組んだのだろう?歪な部分に何らかの意図を感じるが、それが何かはわからなかった。とはいえ「婚活」という言葉の導入は「恋愛・結婚は有限な資源獲得の競争である」という事実をより露にすることにことに貢献するだろうし、そういう意味では悪くない本だとも思う。白河氏の議論もそれを裏付けるものであり、そういう意味では整合性はとれているといえる。
・「 「結婚したいのに結婚できない」苦い現実を明らかにした、必読の現代結婚事情案内」
日本人女性ほぼ全てに共通する「上方婚志向」を明言しており、白河女史を見直した。「仕事のできる女性ほど男性社会の価値判断で人を見る」「年収2倍の法則」など名言も多数で、必読である。特に女性が「狭すぎるマーケットで余りにピンポイント着地を狙い過ぎている」とした現代結婚事情分析には爆笑した(いるいる! こんな人)。メディアに出てくる「日本のオトコがなってない」的な白河女史の発言は、メインターゲットである中上層キャリア女性を顧客とするための巧みなプロモーションだと判断できる。さすがである。
「既に生身の女性とつき合うことを諦めた」と規定されている負け組男性にとって本書は腹立つことこの上ないであろうが、事実そうなのだから実態を認めざるを得まい。文化や価値観の面でこそ日本は「格差社会」である。
山田昌弘教授も「結婚すると経済的余裕がなくなるから嫌だ、という日本独自の要因」を勇敢に指摘するなど、相変わらずの健筆ぶりである。両者の論を比べることでバランスの良い視点が得られるだろう。良き配偶者となるのもなかなか大変だ。評者自身も素行を顧みて、反省しきりである。(大汗)
当書の欠点としては、所謂中下層以下の男女を視野に入れていないことだろう。両者の学歴を考えれば怪しむに足りないが。その点に関しては『結婚の条件』『少子社会日本』の方が良い。
そうそう、「日本女性はガラスのように繊細な日本男性を傷付けないよう日々気を遣っている」との白河女史の主張は大いに疑問だ。面と向かっては褒めまくり、本人がいなくなると陰口を叩きまくるという日本の女性同士の不思議な習性を屡々目にする私としては、本音と建前とを使い分ける処世術もしくは本能と見えてならないが、どうだろう。本音を吐かせると怖い人、結構いますよ。
・「「貧困」を「子ども」中心の視点で論じた本」
貧困の指標としては、「相対的貧困」と「絶対的貧困」とが用いられる。そして絶対的貧困は主としてアフリカなどの後進国、相対的貧困は先進国で問題となる。本書で論ぜられているのは相対的貧困だ。OECDの最近の調査によると、我が国の貧困率はアメリカに次いで世界第2位だという。アメリカをお手本とした「構造改革」、「規制緩和」、「自己責任」という「小泉改革」で私たちが目指しそして得たものは、世界第2位の貧困率だった。貧困の定義については、本書の第2章で述べられているOECDの定義をそのまま用い、手取りの世帯収入の中央値の50%のラインを「貧困」としている。貧困率はそれが全世帯に占める割合である。つまり、我が国は、世界で2番目に「貧困世帯」の占める割合が多い、富の偏在した国家だということだ。 貧困はそれが子どもたちの現在だけでなく、将来をも規定する。すなわち、「貧困」の環境にある子ども達は「そうでない」子どもに較べ不利な立場にある。著者はこの事実を豊富なデータを示しながら実証的に説いていく。まず、進学就職に直結する「学力」、人格形成に影響する「子育て環境」、「健康」、「非行」、「虐待」「疎外感」等々と「貧困」とどのように相関関係にあるのかを、PISAの調査、苅谷剛彦氏の著書「階層化日本と教育危機」からの引用で説明している。 興味深いのは、貧困対策として、生活保護、児童手当、扶養控除、就学援助等の施策がなされ、「富める階層」から「子育て階層」への所得移転がされ、ある程度は平準化されているはずなのだが、現実には所得移転の施策前と後では、後の方が「子育て階層」の貧困度が増しているということだ。 「子育て階層」から「富める階層」への所得移転がなされ、「子育て階層」は更に貧しくなっている。今の日本では、「子育て」は一つのリスクなのだ。
著者の問いかける点は二つ。・子どもの基本的な成長にかかわる医療、基本的衣食住、少なくとも義務教育、そしてほぼ普遍的になった高校教育(生活)のアクセスを、全ての子どもが享受すべきである。・たとえ「完全な平等」を達成することが不可能だとしても、それを「いたしかたがない」と許容するのではなく、少しでも、僧でなくなる方向に向かうように努力する社会の姿勢が必要である。
このような論には何時も「財源がない」との主張がある。しかし、優先度、必要度を論じ先の日本を見据えて何とか解決策を見いだしていくのが政治家の仕事筈だ。
先が読めず夢を語れない政治家に、その資格はない。
・「日本は子どもを大切にする?」
格差社会や貧困に関する書籍は多々あるが、本書は「子どもの貧困」に焦点を絞った考察を展開する。終始、統計の提示と解説であるので単調に感じてくるのは否めないが、データを慎重かつ客観的に分析、解説し、恣意的なところが無く非常に信頼を感じさせる内容だ。
年代に関係なく日本では子どもの社会的必需品への支持が低いというのは少々驚きであった。日本には「子宝」という言葉があり、元々子どもを大切にする文化的土壌があると思っていたが、子どもに質素倹約、我慢をさせるのが当然と考えている人がかなり多いようだ。子どもの貧困ゼロを掲げて対策を打ち出したイギリスに対し、日本では未だ議論に上ることも少ない。
日本人の子ども観について再考させられる一冊だった。
・「「少子化政策」の誤りを突く」
近年指摘されている貧困の世代間連鎖の問題について、OECD出典を中心に多くのデータを引用しつつ、原因及び必要とされる施策について論じた。人生のスタートラインで貧困だと、大人になっても「不利」が影響してしまう日本の福祉政策を国際比較で明らかにする。
内容は多岐に亘るが、貧困が母子家庭に極めて多く、その理由が政策の誤り(とりわけ近年)であることを指摘する。OECD加盟18カ国中、日本が唯一政府の再分配によって貧困率が増加する、一人親の就労率がOECDの中で高いにもかかわらず、一人親の子どもの貧困率も高い(つまり、働いても豊かにならない)など、我が国の母子家庭の直面する現実は過酷だ。また、我が国に養育費徴収の公的制度がないことにも驚いた。それでは支払いが滞るのも当然ではないか。
著者は本書の最終節で、政府は育休増など子ども数を増やす政策にシフトしているが、それらは親や国のための政策であって、「子どもの幸せ」に資する政策は乏しいと訴える。「教育必需品への完全アクセス」、「給付つき税額控除(つまり控除の基準額より少ない所得の場合は控除される金額を受け取る)導入」など、具体的な代案を示して児童政策の大胆な転換を呼びかける。とりわけ「負担増の財源を事業者、高所得者に求める」と、財源も明示した点は高く評価できる。保険料の均等割は確かに低所得者には厳しく、著者の主張にはうなずける。
「子どもの貧困」という新しい視点を提示すると共に、多くの論証を示して政府の児童政策が全く誤りであることを指摘する優れた考察だと考える。
・「過去が現在を照射する」
大澤真幸氏の分かりやすい解説と併せ、社会学的思考の醍醐味(凄み)を感じさせる一書。1965年と1973年に発表された二論考が収められているが、いずれも内容は古さを感じさせない。なお、本書で示された認識枠組みを今日的状況に当てはめたものとして、例えば見田氏の朝日新聞2008年12月31日付論説「リアリティーに飢える人々」がある。(こちらもまた素晴らしい考察である。)
両氏の考察を自分なりにまとめれば、本書に登場するN・N(集団就職者)も、昨年6月の秋葉原殺傷事件のT・K(派遣労働者)も、「家郷から、そして都市から、二重にしめ出された人間として、境界人というよりはむしろ、二つの社会の裂け目に生きることを強いられ」た(32頁)のであるが(期せずして二人とも青森県出身)、二人の違いは抽象化して云えば、前者がいわば世間という「まなざしの地獄」に抗し得なかったのに対し、後者は「まなざしの不在」に耐えられなかったという点にある。また、N・Nの時代(高度成長期)にあっては、失われた家郷は都市においていわば擬似的に縮小再生産(核家族)され得たのに対し、今日(未来不在の時代)にあってはそれすらも解体の方向にあり、例えば「ネット心中」に代表されるようないわば擬似ネット家族のようなものがヴァーチャルに浮遊しているに過ぎない。
われわれは如何なる時代を生きているのか、またこの荒涼たる時代を如何に生きねばならないのか、まずは確認することから始めたい。
●セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか? [宝島社新書] (宝島社新書)
・「今まで数値化されなかった部分が明らかに」
恋愛、結婚、出産といったセックスに関わる人間の行動について、これまで数値で表現されることはなかったように思う(タブー視されている部分もあったのではないか)。この本では、あらゆる性行動が数値化されており、その意味で課画期的なものだと思う。また独身男性に対して「性行動」アンケート調査をしており、その結果は非常に興味深い。著者の主張は、所得格差が拡大すると、性行動にも格差が生じ、格差の上部と底部がともに性行動に消極的になるため、少子化が一段と進むというものだ。そこから、所得格差の是正を行うことを提言している。政府は少子化対策を打ち出しているけど、本源的な対策ではないので、少子化の流れは止まらないだろう。
・「日本人の性行動と経済」
日本人の性行動と経済・社会について分析した本。かなりレアな統計がたくさん使われていてそれだけでも買うだけの値打ちはある。よくこれだけのデータを集めたものだと感心するがさらにオリジナルのアンケート調査も入っている。最終的に導き出された結論はかなり衝撃的!
・「所得格差問題と少子化問題をつなぐもの」
所得格差により男性の低所得層(年収400万円以下と定義)は結婚後の生活不安により女性から結婚の対象と見なされない。
一方、男性の中所得以上の層は、女性から結婚の対象として強い『需要』があるが『供給』は少ないので、結婚できない女性も増加する。
そして、結婚後もホワイトカラーの高所得層は過労のためセックス回数が減り少子化の原因の一つとなっている。
つまり、所得格差の問題が、「男女の出会い」−>「結婚」−>「出産」という循環を崩壊させているというのだ。
やや、決め打ちしすぎている面も否めないが、所得格差の問題と少子化の問題という二つの社会問題を見事に関連付けて説明しきっている。
常に時代の先端から速報を発信し続ける門倉氏だが、今回もやってくれた。表面的には書かれていないが、社会に対する強い問題意識が底に流れる一作だと思う。
・「少子化の背景とは?」
日本の少子化の原因を男女の出会いまでさかのぼって検証しています。内容はアカデミックですが、様々なデータを使って主張を補強しているので説得力があります。こういうテーマはとかく感覚的な話で終わってしまいがちですが、そうなってはいません。切り口が斬新なので、お薦めの一冊です。
・「興味深い内容」
衝撃的なタイトルですが中身はしっかりしています。男性の視点だけでなく女性の視点からも恋愛・結婚行動をとらえていて含蓄が深いです。独自にアンケートも集計してあってその結果も興味深く、自分の実感にあうものでした。やはりお金がないと恋愛もできない世の中なんだなあと改めて実感した次第です。おすすめの一冊!!
●17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義
・「日本文化再発見の手がかりとして・・・」
■タイトルにあるように17歳、大学生向けの講義内容を本にしたものですが、著者自ら言っているように、30歳、40歳、50歳の大人たち向けでもあると思います。意外と知らない自国の文化。著者の博識な語りによってによって、世界の文化と関係づけながら、奥深い日本文化の特性に、はたと気づかせてくれます。 ただ欲を言えば、「世界と日本」となってますが、講義時間や紙面の制約からでしょうが、地域的にヨ−ロッパに比重が置かれ、今日の日本にとって欠かせないアジア等の地域との関係についての考察がないのが、やや残念なところでしょうか。
■時間延長もあった著者の講義。文章のいたるところに「(笑)」と記されているように、大変おもしろくさぞ興味深いものだったことでしょう。実際に聴講された学生たちが羨ましい限りです。
・「17才向けとしては難しいが、良書」
この本は大学での講演、講義がもとになっている。そのため、一般的な17歳には少し難しい内容だと思う。しかし、バロックやルネサンス、侘び茶など、筆者の広範囲に渡る博覧強記ぶりが遺憾なく発揮されており、大人が教養の入門書として読んでも十分読み応えがある良書である。
・「17歳のための、の文句は必要ない」
読んでいてホントに面白かった。大学の講義を受けているような気持ちで読める文体がまた良い。
文化、宗教が生まれる背景、またその差異がどのようにして生まれるか。そういった事を学べて、それがすなわち、世界と日本の差異を考える際、助けになるという内容。
文字の無い時代、情報を伝える方法として物語が発達、物語を伝える為、言語が発達した、っというくだりに大変納得した。
その他、自身あやふやだったユダヤ教からキリスト教が派生する過程、ブッダの生涯、日本の神話、などの概要(?)を学べて良かった。今度はもう少し掘り下げて、それぞれの事柄を知りたいと思うきっかけになった。
著者自身も言っている通り、大人の読みものとしてなんら遜色ない。確かに17歳からこういった視点で世界を見れればなお良いが、二十代、三十代、四十代の読者でも、こういった視点を持っていない、もしくはなんとなくはわかっていても再確認したい向きには絶対お勧めの良書です。繰り返し読みたいので購入して良かったと思います。
・「歴史の面白さを凝縮したセレクション」
あなたがTBSの不思議発見を面白がれる人ならば、だまされた思ってこの本を読んで見て下さい。今まで知らなかった、「宗教」(キリストから仏教いたるまで)、「哲学」(アリストテレスからアレクサンダー大王にいたるまで)、「芸術様式」(ルネサンスやバロック、楽茶碗から織部焼)、「芸能」(和歌から連歌、能から歌舞伎)まで小難しい理屈は無しで縦横無尽に楽しめます。もっと掘り下げて読みたい方は、同氏の『情報の歴史を読む』(NTT出版)をオススメ。歴史の面白さにドップリつかって下さい。
・「情報は繋がることによって・・・理解が構築される」
取ってつけたようなレビューのタイトルになりましたが本当にそう感じました。史実の一つ一つは昔習った歴史の話ですがそれが自分の中でつながっていくことによってその理由や意味が初めて理解できました。「そーか、そういうことだったのか。」って。最近読んだものの中に人間にとって印象に残るのは物語であってデータではないというものがあって、データである個々の史実が自分の頭の中で繋がって物語となったことを実感できました。セイゴオ先生に感謝。
・「かつてのヒッピー思想の生き残り(?)」
日本に長く在住する米人思想家が、現代社会の問題を、セックス・(社会の成熟度としての)年齢・社会階層(カースト)を三つの座標軸として俯瞰することにより未来を予測する、という本である。 日本の社会問題を考えるには面白い切り口とも言えるが、世界の行く末を予言するにはかなりムリがありそうな思想でもある。
筆者の思想の根底には、全世界の人間の価値観が同じ方向に収束する、という思いがあり、そのため(ちょうど現代日本のような)物質的に有り余るほど充足した社会が、精神的な価値重視に向かって進むのはある程度は必然と言えないことはないかもしれない。
一方で、世界の大半は、物質的な充足などとははるかに程遠い社会経済状態にある地域がほとんどであり、そのような地域で紛争が耐えないのは、貧困、圧政、暴力が日常化しているためである。 筆者の言によると宗教対立も近未来に解決される、という論理が展開されているが、聖書世界に端を発するイスラエルとパレスチナの対立が今だに解決されない状況の説明にはまったくつながらない。
週4時間の労働が当り前になり、人々は贅沢を嫌い、幸福な精神世界を至高の価値とする社会に向かって進む、というのは、筆者自信も言うとおり、イスラエルの「キブツ」を理想像としている。 これはかつてのヒッピーが目指したコミューンの思想ではないか?
だいたいが、理想郷の「キブツ」があるのはイスラエルの中でもほんの一部でしかなく、それをを運営する当のイスラエル人が、パレスチナの人々を如何に悲惨な状況においているかをこの目で見てきた私にとっては、筆者が予想する「精神的な理想郷」も「そこに住むエゴも嫉妬もない理想的な価値観の人々」など想像もできない。 また、将来世界において重要な位置を占める、とおっしゃる中東・西アフリカなどは、アブラだけでもっており、それが枯渇すれば見向きもされない不毛の地である、という冷徹な視点も欠かせないであろう。
世界は180度以上も異なる価値観の混在によって成立しており、各国・地域はそれぞれの成長・衰退のサイクルを複雑に繰り返しているのが実態であり、誰かの「理想」は、ある時には他人にとって「憎悪の的」になるのがこの世界である。 それは人類の歴史の中でまったく変化していない「原理」ではないだろうか。
最後に蛇足であるが、中国・韓国・日本を一括して「儒教的社会」としているくだりは、中国人を理解しているとは思えない。 日本の次は是非、中国に住み着いて本書の続編を書いていただきたいと願う次第である。
・「極めて斬新な未来予測論」
この本で著者は、常人には想像すら出来ないほど斬新な理論で、古代史から未来までの予想をたった3つのスキーム(カースト、性、年齢)で説明しています。
それによると、世界の経済圏は10〜30年の間に全て完全にブロック化し(つまり世界中でEUが形成される)、その中で東アジア版EUが世界の覇権を取る。対して、北米・ロシア経済圏は、アジア、欧州に遅れを取るだろうと予想しています。更にその後は、現在の経済を機軸にした世界の価値観が、精神性・宗教性へシフトし、それと共に、現在、途上国と呼ばれるアフリカや各国のネイティブ民族が、世界のオピニオンリーダーとなるだろう、といった、極めて大胆な予想を立てています。
勿論、人間が未来を正確に予測できるはずもありません。従って、著者の未来予測の結果そのものを評価する事は、あまり意味がないと思っています。しかし彼の理論によって、我々読者の、時代に対する見方が広がる事は間違いありません。その意味で、本書は間違いなく、★5つの名著だと思います。私がこれからの時代動向を評価するとき、本書の理論がどこか頭の片隅に残り、何がしかの妥当な解釈を与えてくれる気がします。
・「世の中の現象、会社で今起きている現象が見事に説明がつく」
『説明しにくい日常の出来事が、実は、人類が次のステージに向かうための必然的現象である』と表紙カバーにある。以下のような【なぜ】についてもこの3つの原理で説明がつく。
・「ローレンス・トーブの考え方が理解できる」
様々な現代の歴史の流れを具体的に説明し、さらには予言したとも言われるローレンス・トーブの歴史を動かす原理を彼流に解説してくれる。彼は誰もが知っている基本的な知識を意外な組み合わせでまったく別の事象を説明する。彼の考え方は突飛に見えるかもしれないが、よく考えてみると腑に落ちることが多い。影響を受け自分の研究にヒントをもらっている俊英な学者も多いですよ。まずご一読をお勧めします。
・「一度じゃ分かりません・・・」
セックス・年齢・社会階層と、人目を惹くに足る概念による整理は野心的ですが、正直「ほんまかいな」という思いは拭いきれません。(ところどころ納得させられる主張も多いことは事実ですが・・・)
「上質な推理小説」という内容紹介文を信じて読み始めると大変な目にあいます。少なくとも、これほど難解で読みにくい推理小説を私は読んだことがありません。まるで学生の頃に試験のために読まざるを得なかった経済史学でも読んでいるかのような錯覚に陥ることもしばしばでした。一度読んで考え方を理解しようなんていう甘い認識で手に取る本ではないと思います。読むならじっくり、何度でも読み返すべき本でしょう。(私自身はあまりできなそうな気がしているので星2つにしていますが)
・「内容が重複してますのでご注意を!」
以前「使える弁証法」を読み、★5つと評価したレビューも書きました。本書はそれをさらに発展させたものかと思って読みましたが・・・かなり重複しています。重複していようが、中身は良いは思います。しかし、既に「使える弁証法」を読まれている人であれば、わざわざ購入する必要はないようにも思います。その辺、購入される前に手にとって確認してみることをお勧めします。★5つとしたのは、本書単独での評価です。「使える弁証法」を以前に読まれた方であれば、★3つ、あるいは★2つの評価になるかもしれません。
・「器の大きな人物になるために。」
未来を予見する「5つの法則」「器の大きな人物」とは、壮大な矛盾を抱えることのできる「魂の力」に他ならない。「矛盾」の止揚の道を求めて格闘を続けること。
器の大きな人たちは、皆、格闘しているんですね。
・「わくわくする未来予想」
未来を予見する鍵として弁証法的思考があると主張されている。タイトルにあるように、未来を予見するための法則として5つあると書かれている。その1つとして、世界で起こることは、螺旋階段を登るように繰り返されるが、単に同じことが繰り返されるのではなく、より発展型として現れる。また、量が一定の水準を越えると、質が劇的に変化する、ということ。また、「利益追求」か「社会貢献」かというような互いに両立が難しい課題、すなわち、「矛盾」することに取り組むことが、社会の発展の原動力であると書かれている。etc.
ある量を超えると質が劇的に向上する、など、私も経験から納得がいくところがある。質よりもまずは量をこなすことが大事、ということだろうか。また、互いに利益が相反するように見えることをうまく両立していくことが大切だというのは、まるで物理学の不確定性の原理の説明を聞いているようだ。著者は最後に、これからの社会の予想として、誰もがレオナルドダビンチのような多様な才能を開花させることが普通になるような世界が来ると予想している。その原因として、ウェブ2.0革命を挙げている。著者の未来予想を拝読して、わくわくするような気がして、自分の可能性を1つのものにだけ求める必要もないという点については、非常に勇気付けられるような気がした。
やりたいことが沢山あるけど1つに絞るべきか否か、などと悩んでいる人にとっては、読んでみてほしいと思います。
・「未来を知るのには?」
これから何が起こるのか?
未来を知りたい。
そう思う方は多いと思います。
知る為にはどうすればよいのか?
そのヒントが溢れている本です。
著者は、
《未来は、「予測」できない。しかし、「予見」はできる。》
と書いています。
未来を「予測」できなくても、「予見」ができれば、充分でしょう。
台本どおりにすすむ人生ではおもしろくないでしょう。
ですか、「予見」するのは難しいです。
「予見」する為に、本書を読んでみてみないですか?
新しい未来が見えてくるのでは。
・「予見能力を自分のものにするには」
「なるほど、言われてみれば過去の事例は納得…」ですが、世の中の変化の法則を自分で利用するには規模の大きい事例が多く、自分用にアレンジするには相応の解釈努力が必要な気がしました。
そのため、内容をそのまま鵜呑みにすると「流行に遅れない法則」というタイトルがしっくりくるような気もします。あと、ボイスメール時代の到来を予見されていますが、留守番電話で事足りているのでは、、。
でも、世の中の流れを哲学的に分析して先を読むという視点は面白いですね。止揚というものに大変興味が沸きました。
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