「この年、最大の衝撃を受けた本」「知らなかった世界」「現実」「セイフティネットで取りこぼされる人たち」「セーフティーネットという言葉の重さを噛み締める本。」
小説で読む民事訴訟法―基礎からわかる民事訴訟法の手引き (詳細)
木山 泰嗣(著)
「たった一日で民訴が好きになり、基礎がマスターできる本」「『小説で読む民事訴訟法』」「「小説で読む」にひかれて。」「身近な民事訴訟に少しでも興味のある方や小説好きの人に読んで頂きたい一冊」「法律を身近に感じることができる良書。」
元刑務官が明かす死刑のすべて (詳細)
坂本 敏夫(著)
「「当事者」としての死刑」「秀逸ではないが生々しい」「刑務官のみた死刑囚」「死刑賛成?反対?」「元当事者だからこそ深くメスを挿入できた書物」
そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫) (詳細)
日垣 隆(著)
「心神喪失規定暴走国家日本」「読むべき本」「犯罪の中の精神異常、精神異常の中の犯罪」「責任能力が認められないので無罪」「怒りの告発本」
刑法入門 (岩波新書) (詳細)
山口 厚(著)
「入門の入門として」「刑法総論入門」「刑法判断の「軸足のずらし」に焦点」「ある行為が「犯罪」になるケースとは」「裁判員制度も始まってしまいますからねぇ」
心からのごめんなさいへ −一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦− (詳細)
品川 裕香(著)
「教育のブレイクスルーとなるのでは」「読むと元気が出る本」「発達障がいと犯罪?」「本来は少年院の外で行われるべきだが」「新しい視点を得られる本です」
破滅―梅川昭美の三十年 (幻冬舎アウトロー文庫) (詳細)
毎日新聞社会部
「母上の頼み」「やりきれないの一言」「昭和を震撼させた銀行強盗事件」「きっかけ」「あさま山荘事件より・・・・」
伊藤真の刑法入門 講義再現版 (詳細)
伊藤 真(著)
「わかりやすいです」「最高!」
津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫) (詳細)
筑波 昭(著)
「貴重な事件記録」「事実は小説を超えていた」「ちょっとねぇ・・・」「悲しい。ただ悲しい。」「昭和の影と光」
雨の追憶図説三億円事件―真相究明ガイドブック (詳細)
むらき けい(著)
・「この年、最大の衝撃を受けた本」
2006年に読んだ本では文句なし、一番の衝撃作だった。障害者×犯罪、二重のタブーに身を以て斬り込んでいった著者に拍手したい。地味だけどショックだったのは「第三章 生きがいはセックス――売春する知的障害女性たち」。これを読むと、風俗(売春)産業にはかなりの割合で知的障害者が従事しているのではないかと思われる。男性の方、思い当たりませんか。ものすごくサービスのいい、情熱的な風俗嬢の記憶ってありませんか。客は、通常の商取引だと思って買春している。資本主義倫理的には売り手と買い手はイーブンだから、そこには何の後ろめたさもない、と思っていたのに、実は相手は知的障害だった、としたら。
本書が取り上げるのは、いま流行の格差社会論ですら掬われていない、どん底の人々である。自分と彼らとのあまりの距離に愕然とする。とくに「聴覚障害者が使っている手話は日本語逐語訳ではない。逐語訳手話は通じない」という指摘とか、改めて衝撃だった。日本語じゃない、んですよ!だが、私たちは彼らとまったく違うのか?というと、そうではない。私たちも加齢とともに必ず何らかの障害を抱えるのである。私たちもいつか、この社会に居場所のない、排斥される、弱者になるのだ。必ず。金があれば居場所はあるかもしれないけれど、その金を失ったら誰もが弱者だ。そのとき、こんなはずじゃなかった、と泣くような社会でいいのだろうか。私たちが作るべきは、そんな社会なのだろうか。
山本譲司さんの投げる球は、遠くまで届く力があると思います。力の続く限り投げ続けてほしいです。私は、受け取り続けたいと、強く思います。
・「知らなかった世界」
本書は、「獄窓記」の著者が服役経験を交え障害者の犯罪をリポートした、画期的なノンフィクションである。 刑法には、心神喪失者の行為は罰せず心神耗弱者の罪は軽減する旨が定められている。この条文を根拠に、私は知的障害者は犯罪を犯しても通常服役することはないものだと思い、またそうしたあり方に少なからぬ疑問を抱いていた。 だが、現実は異なっていた。 14歳未満は刑事未成年として不処罰となるにもかかわらず、知能の面でそれ以下である多くの知的障害者が、実際には刑を受け服役しているというのだ。論理的に反論する能力を持たないため、警察のシナリオどおりの調書が取られ、犯罪者に仕立て上げられた障害者もいたという。 責任能力の有無にかかわらず、殺人等の重大犯罪を犯した者については情状酌量の余地はあるにせよ、なんらかの刑に服するべきだと私は考えていた。だが、軽度の知的障害であるがゆえに福祉の枠からは外れ、かといって「健常者」が支配する社会には居場所がなく、刑務所が唯一の居場所とならざるをえない累犯障害者の現実を目の当たりにすると、複雑な思いにかられてしまう。 他にもろうあ者の暴力団の存在や売春する知的障害者の女性たちなど、今まで知りえなかった驚くべき現実を精巧な筆致で書き綴っている。
・「現実」
見たことのないことばがいっぱい出てくる。累犯障害者、デフ・ファミリー、デフ・コミュニティ、触法障害者などだ。さらに、意外な事実もいっぱい出てくる。ろうあ者が用いる手話と健常者が使う手話には大きな違いがあるなどだ。なんと自分は無知だったんだろうと思う。パラレル・ワールドのようだとも思う。マスコミでも障害者の犯罪にはほとんど触れないのだという。本書は、そういったほとんど公開されない障害者の犯罪とその背景を明らかにしている。パラレルワールドなどと書いたが、現実だ。この現実を知らない人はたくさんいると思うが、そういった人にはぜひ読んでいただきたい本だ。
・「セイフティネットで取りこぼされる人たち」
経歴という面から見ればこれほどドラマティックな人生を経ている人は少ないでしょう。本書は元国会議員の山本さんが服役中に見た累犯障害者たちの姿を丁寧に追ったものです。
・「セーフティーネットという言葉の重さを噛み締める本。」
かつて政治家でもあった著者がまさに決まり文句(山本氏だけでなくね)のように主張していた「セーフティーネットの構築によって安心できる社会を」という言葉について、そのような綺麗なスローガンでは見えてこない悲惨な現実と向き合うことで、同じ「セーフティーネット」の必要性を説く言葉でもここまでも読む、あるいは聞くものの心を打つかということをまさに言葉の力の一つの側面を教えてくれる一冊。
法改正によって法的(それも加害者としてだけど)に障害者は正常者と同等の扱いを受けるようになったが、それは正しかったのだろうか?と人としての尊厳を確保するのは建前としての平等よりも福祉、形式的平等ではなく実質的平等があって始めて現実的でありえるのではないかという結論に否応なく至る。…たとえそれが差別の固定化に繋がる恐れがあるとしても、やはり別の世界を生きているのではないかと。このことは昨今39条の廃止を巡る言説についても敷衍化可能な部分でもあろうと思う。
しかし、ドラマなどでは純真無垢な存在として描かれがちな障害者の綺麗ごとではない、もう一つの社会(ここは是非読んで衝撃を共感していただきたい部分なので避けます)の暗部、翻ってこの社会の冷淡さをとことん突きつけられたとき、この国とはなんなのかと考えざるをえなくなる、目を逸らさずに読まなければいけない一冊であることだけは断言できます。
しかし、今こそ山本譲司氏は政治家たるに相応しいというか、是非とも政治家になって欲しい人材となっている。しかし、皮肉な話のようで本来政治というものが弱者の声を掬い取るものだとすればまさに当たり前のことなんですよね。これが代々の政治家、苗字が同じであればポチでも当選できそうな地盤を有していれば、禊を経たなどと容易に復活できたであろうことを思うたびに嘆息してしまいます、秘書給与の流用という罪自体が本当に軽微なものなだけにね。
・「たった一日で民訴が好きになり、基礎がマスターできる本」
実際に野球を観戦したことがない人が、野球のルールブックを読書したところで、野球のルールはなかなかマスターできないのと同じで、民事訴訟を経験したことがない人が民事訴訟法の基本書を読んでも、なかなか理解をできないと思います。
この本は、法律事務所でアルバイトをする大学生が様々な事件に出会い、その中で民事訴訟法の重要な概念を理解していくという構成をとっています。よって、具体的なイメージが頭の中にある状態で、たとえば、「管轄」、「訴訟物」といった用語が解説されているので、すんなりと理解できます。また、同じ一つの概念を、繰り返し多くの登場人物(弁護士、主人公、その友人、恋人、それに依頼者等)の会話を通して読むことになるので、記憶にも定着し易くなっています。
ただ、体系書ではないため、この本を読んだだけで民事訴訟法をすべてマスターできるわけではありません。しかし、おもしろくない民事訴訟法を身近にし、重要な概念を学べるだけで、その後の学習の効果は格段に違ってくると思います。300頁弱ありますが、小説仕立てなので六法を片手に読む本でもなく一日あれば簡単に読破できます。それでいて、索引もちゃんとついているので、後で確認する事も簡単にできる親切設計。民訴の最初の一冊として中野先生の民事裁判入門以前に読んでいただきたいお勧め本です。
※ちなみに、以下のテーマについて扱われています。管轄、訴訟物、弁護士代理の原則、争点整理手続、期日の種類、証拠、当事者欠席、必要的口頭弁論の原則、口頭弁論の諸原則、除斥、忌避、回避、実体法と手続法、処分権主義、当事者の意思による訴訟の終了、弁論主義、証拠、要件事実、裁判上の自白、釈明権、形式的真実主義と実体的真実主義、証明責任、否認と抗弁、自由心証主義、上告理由、証明と疎明、証拠共通の原則、反訴、訴えの利益、確認の利益、訴え提起、訴えの種類、調停前置主義、不服申立前置主義、判例、判決の種類、既判力、上訴、民事訴訟法と民事訴訟法規則
・「『小説で読む民事訴訟法』」
『小説で読む民事訴訟法』むずかしい本かと思いきやわかりやすく、最後まで一気に読めてました。そんなことが訴訟になるの?って思ったりして、裁判が身近に感じられました。裁判員制度の影響で、法廷ものの本が多く出版されている中でも、おもしろかった。橋本弁護士も府知事になったり、弁護士ってマルチな人が多いのかな〜。
・「「小説で読む」にひかれて。」
とても面白くて勉強になる本でした。「小説で読む」というタイトルにひかれて買いました。小説を読んで法律を勉強できるというコンセプトが斬新。私のような素人でも,こういった本だと,興味をもって読めます。裁判の用語が難しいのに,わかりやすく解説した本がなかなかない中,この本はそういう意味でも勉強になりました。
・「身近な民事訴訟に少しでも興味のある方や小説好きの人に読んで頂きたい一冊」
普段はノンフィクションもの(主に歴史・教育関連)を読んでいます。
法律の本は難解な物が多く全く興味がなかったのですが「小説で読む民事訴訟法」というタイトルに興味が湧き購入してみました。「小説で読む」と云っても所詮は法律書、最後まで読み切れないと覚悟していました。ところが届いた本をパラパラとめくってみると、これが思いのほか読み易い・・・・・
民事訴訟の具体例を「法学部に在籍する主人公の大学生が友人達と交わす会話や、主人公のアルバイト先である法律事務所に所属する女性弁護士からレクチャ−を受ける」というスタイルで問題解決までのスト−リ−が軽快な文章で展開されてゆきます。
タイトルに違わず非常に読み易く且つ面白く読めました。当然のことですが分かり難い専門用語が出てきます。が、その都度その用語の解説が付記されているので余り気になりません。
法律には全く素人の私でも読み切ることが出来た本書を、是非皆様にも読んで頂きたいと思いレビュ−に投稿しました。
・「法律を身近に感じることができる良書。」
結論から言うとよい本である。小説的にはいささか陳腐な内容だが、難解な民事訴訟法をわかりやすくするためにあえて単純な構図で描写したと好意的に捉えたい。
手続法はこういった具体例をまず勉強してから基本書や概説書を読んだほうがよいと思う。歴史を学ぶ際にまず漫画などからはいっていくのが効果的なのと同じである。
そういった点でこの本は良書である。講学上の概念を具体例に置き換えることに慣れればそれだけでその法律がぐっと身近になるからである。
ぜひシリーズ化してほしい一作である。
・「「当事者」としての死刑」
映画の『13階段』をみて、本書の著者の坂本氏がそのアドバイザーを務めたというので、手にとってみた。坂本氏は死刑執行に実際に携わったことのある元刑務官である。
死刑の是非を問う議論は世にかまびすしいが、死刑の当事者は限られている。犯罪被害者の家族、死刑囚、死刑囚の家族、そして忘れがちであるが、死刑を実際に執行する公務員、すなわち刑務官である。
本書のいちばんの特色は、頭のなかの理屈ではなく、目の前の現実として死刑を受け止めなければならない当事者たちの視点から書かれている点である。
クリスマスに死刑執行を命令された刑務官の気持ち、まさに死刑を執行される死刑囚の気持ち、当事者ではないが、死刑反対運動に巻き込まれて、つらい思いをする刑務官の家族の気持ちなどをていねいに描いている。
だからといって坂本氏は単純に死刑反対、というのではない。一家4人を惨殺して死刑判決をうけながら、反省の色も見せず「自分も国に殺される被害者だ」と嘯く死刑囚や精神異常を装って死刑から上手に逃れてみせる卑劣な犯罪者の様子は読むものに心底、怒りを感じさせずにはおかない。
死刑制度の当事者になるという経験は、世にまれである。ほとんどの人は、死刑を身近に感じることなく、平穏に一生を終える。だから、死刑是非論はどうしても論理先行、理念先行になりがちだが、本書はそこに「当事者」という名の一石を投じる。
社会制度を議論するのに、当事者でなければ資格がないとはいわないが、しかし、正義や理念、理想だけが先行する議論はどこか空疎である。その意味で、死刑の当事者、死刑の現実をこれでもかと書き並べた本書は、議論としてのまとまりには欠けるものの、いわくいいがたい何ものかを残す。良書とも名著とも少し違う、しかし、読んでおくべき本のひとつであることはおそらく間違いない。
・「秀逸ではないが生々しい」
殺したい相手を「誰か」に殺させるのが死刑制度。その「誰か」が書いた本。死刑制度について語る前に読んでおきたい。
死刑制度そのものの是非ではなく、実際に死刑が執行される現場とはどのようなものなのか、それを執行するものの精神状態はどうなのか。そんなリアルな現場の話が書かれています。
死刑が確定してから執行されるまでの間・・・それは時には数十年にもなる・・・その間を共に過ごしてきた人間が、いかに死刑囚が更生していたとしても、命令がくれば拒否することも許されずに「職務としての殺人」を行わなければならない苦悩。
作家が書いたような秀逸な文章ではないが、それだけに生々しさと苦悩が伝わってくる。 死刑賛成の人も反対の人も、ぜひ読んでみて欲しい。
・「刑務官のみた死刑囚」
刑務官という我々にはあまり知られていない世界について知ることができる。 元刑務官による視点が極めて多くのことを考えさせてくれるのが本書だ。 むしろ死刑反対派にとっては耳が痛い書物であり、目を背けたい書物であろう。 死刑囚が実際には反省してなどおらず、いかに狡猾に立ち回る者なのか・・。 弁護士や人権派などがいう世界とは別の世界があることを深く痛感させられる。 死刑が廃止されることによっていかに統治が崩壊しある種の人たちにとっては、 犯罪のしやすい社会になるのではないかと思わされる。 人はなぜ人を殺すのか、罪を償うことはできるのかということについても考えさせられる。 多くの人に読まれるべき書物であると思う。
・「死刑賛成?反対?」
この本を読むまでは“快楽や利益の為に人を殺したら絶対死刑”だと軽い気持ちで思っていました。読後その気持ちの方が強いものの安易に死刑に対して賛成とか反対とは言えなくなりました。著者は反対の意見も賛成の意見も両方素晴らしい意見を紹介していて深く考えさせられます。そして死刑囚と真剣に向き合い彼ら(の魂)を救う刑務官の方の忍耐、苦悩、暖かさには本当に心打たれました。少々凄惨な場面や描写もありますので万人向けとはいえませんが貴重な本だと思います。
・「元当事者だからこそ深くメスを挿入できた書物」
私達一般人は、拘置所はおろか、刑務所内の実情とは縁が無く過ごす事が多い中、本書は更に死刑囚にスポットを当てた快挙の書と見るべきだろう。重要な部分は、元刑務官という当事者が書いた部分が大きい、大抵この手の書物だと自分の勤め上げた愛着から保身に回り、擁護的な文になりがちだが、本書はそれとは全く相反した内容である。例えるなら企業内告発に似た雰囲気が掴み取れ、そういう意味では快挙というべきだろう(但し語り口の雰囲気から少々デフォルメ感も感じられるので読み手によって情報精査して読む必要もある)。しかしながら、その多少の誇張感故に中盤からはグイグイとひき込まれる内容でもあった。
一番大きいのが人間模様だろう。死刑囚でも様々な人々にスポットを当て、その人種も様々。本書を読んで驚いたのが、全てとは言わないが一部の死刑務所では全く統制が取れておらず、房内でAV鑑賞会を行うほど規律は乱れ、囚人が刑務官を顎で指図し、強迫するような天地逆転の所もあるようだ。対して刑務官の世界では、完璧なまでの地位ピラミッドが形成されており、出世や銭で歪んだ見方しか出来ず、囚人の扱いを等閑にしてしまう程の状態にもなっているようだ。そこで本書中盤では、上記の「囚人の暴走」と「刑務官の腐敗」が焦点となって話が進む。この当りが一番のハイライトと思われる。いわゆる「叩き上げ」ノンキャリアの刑務官が荒れた刑務所に送りこまれるという内容だ。話しとしては小奇麗だが、実際の所叩き上げ潰しのために送りこまれた実体が、腐敗を裏付けている。
本書を読む事で更にこの国の「終身刑」が無く、実質懲役20年の「無期懲役」と「死刑」の圧倒的な刑期の開きを実感することにもなった。この国には死刑議論を語る前にまず、終身刑を導入する必要があるかもしれない。
・「心神喪失規定暴走国家日本」
題名から勝手に「ある事ない事を書いて人々を必要以上に不安に陥れる本」と想像し読む気が起きなかった本である、
しかし、ある折、この本を薦められたので手にとって読んでみた。非常によく調べられ書かれている。おそらくこの本を書いた後様々な嫌がらせなどを受けたのではないだろうか。この本で描かれている、刑法39条の超拡大解釈には、殆ど一般の人がおかしいと感じているはずである。作者が法律に精通している(法学部卒)だけあってその筆は作者の憤りを感じるものの、冷静である。
だいたい人を殺したとき、普通の精神状態であるほうがおかしい。(平然と人を殺せるのが殺人鬼である)興奮状態にあるのが通常なのである。精神鑑定により、不起訴にするケースは他国でもある、しかし日本の問題はその後の受け皿がない、という事である。その点もよく調べている。弁護士は殆どの重大事件で精神鑑定を求め、それが、精神科医や弁護士(人権団体)を経済的に潤しているというは納得いかない、39条はまさしく「精神障害者」を人として認めていない差別的条文以外のなにものでもない。
何年も前になるが、知り合いが、通り魔的犯行で性的暴行と肉体的(及び精神的)傷害を負った。しかし、新聞に容疑者の名前は出なかったし、結局責任能力なしで不起訴になったと聞く。彼女は命を取りとめたもののその時の治療代もでず、人生を大きく狂わされた。その犯人は今も普通に街中を歩いているかもしれない。そういう人がいつ大切なものを奪うかもしれないと考えると不安になる。私の大学の先生はそういった不安をもつ人たち(私を含め)を「擬似被害者」と言い、39条の必要性を説いていた。しかし、やはり納得いかない。39条を摘要するなら、それに伴った受け入れ施設が必要である。この本を読んでそういった考えが深まった。
・「読むべき本」
刑法第39条「心神喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為はその刑を減軽する。」にスポットをあてた本。
著者の主な主張は、(1)殺人など重大な行為を犯した者であっても、精神病の疑いがあれば、検察が「起訴前鑑定」を行い起訴を見合わせてしまうことが多い(殺人者の4割が不起訴ななる)。それは、起訴した事件が無罪になれば検察官自身の出世にひびくから。 (2)鑑定は、被疑者の過去の時点の状態をさかのぼって推定するもの。絶対的な判定はできない。さらに、鑑定人によっては、常に心身喪失や心身耗弱の鑑定をする。(3)裁判官も、極めて安直に刑法第39条を適用し、無罪にしたり減刑したりする傾向にある。(4)刑法第39条に該当し、無罪や減刑になった者に対する医療上の対策ができていない。(5)その結果、心身喪失を偽装している疑いの濃い者であっても無罪になり、極めて短期間病院に入院したあと、世間に戻ってくるケースがある。
10年がかりで執筆したというだけあって、さまざまな事件、文献等にしっかりとあたった上で書いたことが伝わってくる。もちろん読んで楽しい本ではなく、著者自身が書いているように、事件の記述などはむしろ読むのが苦痛な部分もある。 しかし、著者の主張をどう判断するかはともかくとして、極めて重要なテーマであり、まず読んでみて考えてみることが大事だと思った。
・「犯罪の中の精神異常、精神異常の中の犯罪」
非常に単純な話をすると、犯罪(を見る立場)にとっては精神異常者も正常者も犯罪を犯した結果に変わりない。殺人は誰が犯そうと人を殺すことに変わりはないことからすれば、寧ろ本書のように放置されている精神異常者の犯罪をこそ厳罰にという主張も理屈としては解らないではない。しかし、他方で精神異常の世界からすれば、精神医学でさえいまだによく解らない理由で完治しない病気の下で一部の患者が犯す犯罪について、正常者よりも重刑であったりすれば不条理だと思うのも当然だろう。 問題は、犯罪(法学)の側から見るのか精神異常(精神医学)の側から見るのかで刑法39条にとる立場が真っ二つになることであり、単純な議論は避けねばならない。その意味で本書は単純に前者の立場に立つものでしかなく、かつ辛口(辛辣)であるから、私には気分が悪くなるようなものである。著者は、逆に自身が精神異常を煩っていた場合、かつ犯罪を犯さざるを得なかった場合の想像力に欠けているし、それを究明し防止する現実的方途を提示できているわけではない。現在の精神異常者を隔離すれば普通の社会から精神異常が無くなって安全になるとでも勘違いしているようだ。
・「責任能力が認められないので無罪」
?ならば、責任能力のない人間がシャブ、アルコール、自動車、包丁などのデンジャーなアイテムとともに天下の往来を我がもの顔でのし歩いていた責任は誰がどのように取るのか? いったい、どうなってるんだ!
凄惨な事件に対するビックリ判決。誰もが感じる義憤。その『どうなっているか』の部分について、詳しく啓蒙してくれるのがこの本です。
今日も今日とて、日本法曹会からグレイトなサプライズが飛び出しました。自殺の道連れとして五人もの無辜の市民を殺傷しようとも、それが“悪魔の命令”なら無罪ッ!
民意が圧倒的なら司法の判断も影響を受けざるを得ないのは過去の判例からも明らかなこと。この一冊、もっと読まれるべきでしょう。
・「怒りの告発本」
刑法39条第二項(心神耗弱)を中心とする司法の不条理をこれでもかというほどの例を挙げて批判した本です。
正気と心神喪失の間にある心神耗弱とは一体何なのか。完璧に正常な精神で異常な犯罪を行える人はあまりいないでしょう。つまり、心神耗弱なんていうのは凶悪な犯罪を行ったほとんどの人にあてはめることが可能なものなのです。
いまいち大きな話題にならないこの大問題。誰がどう見てもおかしいと思うのですが・・・。
・「入門の入門として」
新書の役割は専門的な事柄をずぶの素人にも解るように、そして最先端のことを平明に書いて読者に提供することにあります。そうでなければ新書の意味をなさないからです。本書は現在における犯罪について刑法はどの様に成り立っているのか、犯罪の成立、刑罰などについて書かれています。新書ですから著者自身の理論を展開する場所ではないので、あっさりとした内容の物になっていますが入門としては充分な知識を与えてくれています。本書を読み終えた上で、興味を持たれた方は次のステップに移る。これが新書の役割でしょう。本書では見事にそれが完遂されています。巻末に3冊+2冊の本を参考文献としてあげていますが、著者自身の本を挙げていないところが、共感を呼びます。何も刑法なんか知らないと言う人にはうってつけの新書です。
・「刑法総論入門」
・立て続く東大法学教授の岩波新書ですが、今度は刑法学の山口教授が登場。・著者は文章が難解なことで有名なので、ちょっと心配だったのですが、まったく問題ありませんでした。非常に読みやすい入門書です。複雑な理論に深入りすることはありませんので、それなりに読書好きの方なら誰でも十分に読みきれる内容だと思います。・全体の流れは、刑罰の概要に始まり(ここが少し細かくて読みづらいかも)、刑法の基本原則,犯罪の成立要件へと続き、正当防衛などの犯罪が成立しない特別な場合の説明で終わります(なお、不能犯,中止犯などの言及はありません)。・著者が今まで築き上げてきた刑法学の基礎の部分を語るものですので、何か新機軸を打ち出したようなものではないですが、教養書としての刑法入門として安定感はかなりよく、広くおすすめできる一冊です。・ただ、本書は、犯罪,刑罰の一般原理を解説した本(いわゆる刑法総論)ですので、こんな犯罪があるとか、あんな犯罪はこのような場合に成立するといった、犯罪別の具体的な話が出てくる(いわゆる刑法各論)わけではありません。裁判員候補である一般市民に対する啓蒙書としては、裁判員裁判で対象となる殺人罪や放火罪,危険運転致死罪などの各論的説明も入門書とはいえぜひ欲しかったなあとは思います。第二弾に期待します。
・「刑法判断の「軸足のずらし」に焦点」
犯罪を構成する条件は何かという一点を追究した、理論面からの刑法入門。単純な犯罪ではなく、複雑な要素が絡み合い判断に苦しむような事例を、どのように一般的原理から説明するか。これが、刑法学の課題である。著者によれば、1970年代頃から、刑法の犯罪観は大きく変容し、犯罪を「倫理違反」として捉える視点から、犯罪を「利益侵害」として捉える新しい視点へと移行した(p32f)。これが、本書を貫く通奏低音である。犯罪を「倫理違反」ではなく「利益侵害」とみなすことは、刑事裁判の判決の多くに直接影響を与えるものではない。しかし、複雑な境界事例の判断には大きな影響を及ぼす。著者はそれを、誰も被害者がいない「わいせつ物販売罪」は妥当か(p35f)、福岡県青少年条例をめぐる最高裁判決において、多数意見の「淫行」観の不自然さを批判した伊藤正巳判事の反対意見(p95)、そして、毎日新聞西山記者が外務省の蓮見事務官と「情交」を結び、外交機密を漏洩させた外務省秘密漏洩事件(185f)などについて解説する。特に、外務省秘密漏洩事件の最高裁決定に対する著者の批判は、力がこもっている。その要点は、西山記者が蓮見事務官を「性的に誘惑」して機密を得、その後彼女を捨てたのは「個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙し・・・社会観念上是認できない」という理由で西山を有罪にしたのは、「利害侵害」ではなく「倫理違反」を根拠にしており、理論的整合性を欠くという批判である(p199f)。西山と蓮見の「情交」は大人の男女間の倫理問題であり、倫理は刑事罰を加える論拠にはならない。「女性を誘惑した西山はけしからん、機密を渡した後に捨てられた蓮見さんは可哀想」という国民の「良識」におもねる判決なのである。
・「ある行為が「犯罪」になるケースとは」
刑事裁判に関わる仕事で毎日裁判を傍聴していたころがあったが、自分の罪を認め罰を甘受するという被告人の裁判がほとんどだった。しかし、1度だけ「(罪に問われた)事実は認めるが、その事実は犯罪として成立しない」と主張し、著名な刑法学者、裁判官でも有罪、無罪が分かれる裁判があった。その裁判は今、同罪を解釈する上で重要な判例の1つになっているが、「その事実が刑法の条文の解釈に適合する犯罪か否か、仮に外形的に犯罪行為と認定されても処罰されるほど悪いことか否か」という点が議論になり、「犯罪を犯せば処罰される」と当然のように考えていた自分には極めて新鮮な裁判だった。
長い前置きになったが、「どのような場合に特定の行為が犯罪となり処罰されるのか」(業界的には「刑法総論」と称せられるようだが)という本書の内容は、傍聴席から見た刑事司法の世界では水や空気のように現実の裁判ではほとんど合意され、議論されることはほとんどないように思える。しかし、ごく稀にこの手の問題が持ち上がると、犯罪か否かの線引きで盛り上がる。刑法界の第一人者が書いた本書には、「やる気がない」「因果関係がない」「結果がない」など、普通の犯罪では考えられないような色々なケースで線引きが紹介されていて面白かった。当たり前だが、人に向けて石を投げ、当たらなくても貧血などで勝手に人が倒れた場合、傷害罪に問われない。因果関係が認められないから。業界の教科書を読んでも長すぎて分からなかった刑法総論だが、本書は分かりやすく書かれており、犯罪の線引きについて、理解が進んだ。一般の人には関心を惹起しなさそうだが、刑法学に関心がある人にとっては魅力のある内容だ。
・「裁判員制度も始まってしまいますからねぇ」
ぼく自身は法律なんかにはまったく興味がなく、大学の一般教養でもほとんど授業に出た記憶もありません。当時は愚かにも「為政者が恣意的に決めたんだろ。そんなのマジメに勉強してられるか」という意識でした。ということで全くの門外漢なのですが、この本は犯罪とは「法によって禁止され、その違反に対して刑罰が課せられる行為である」という原則と、刑罰には生命刑(死刑)、自由刑(懲役、禁錮、拘留)、財産刑(罰金、科料、没収)だけが日本では認められているなどの概要に始まり、犯罪の成立要件と正当防衛など犯罪が成立しない場合の説明で終わる、という構成。
刑の執行猶予は懲役・禁錮刑の執行が終わってから5年以上たってないと受けられないとか、不勉強ながら全く知りませんでした(p.13)。あと、最近では犯罪を「倫理違反」というよりも「利益侵害」として捉える視点の方が有力になっているというあたりも知らなかったですね(p.32)。違法性の脱却、相当因果関係(p.117)、構成要件的符号説(p.156)、重畳型共犯と分担型共犯(p.168)とかも含めて勉強にはなりました。
●心からのごめんなさいへ −一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦−
・「教育のブレイクスルーとなるのでは」
私は中学校の教師で,二人の子の親ですが,この本を読んで学ぶことがたくさんありました。まず本書は,少年院の実践とその理論が,誰にでも分かりやすくちりばめられています。発達障害はあくまでも非行の一つのリスクに過ぎないとしていること(他に環境要因など)。エビデンス・ベースの新しい教育実践,教育戦略,組織管理,公共サービスとしての新しい在り方。そして,個々の子供のニーズから教育を積み上げていくという温かい支援の姿勢。やさしく,新しい感覚を得ることができます。そして,この本から,教室の「荒れ」を克服しつつ,世界でもトップレベルの教育システムを構築した宇治少年院の力が伝わってきました。この少年院のようにその子のニーズにあった支援をして,力を伸ばせて上げることが真の教育ではないかと痛感いたしました。とにかく,日常の閉塞感やイライラを吹き飛ばしてくれるようなノンフィクションです。読んでいて,わくわくする気持ちのいい本です。
・「読むと元気が出る本」
自分は弱い人間です。意志薄弱で逃避傾向があり、おまけに依存体質です。この本は、そんな弱い自分でもできるかもしれないと勇気を与えてくれます。そんな気持ちになれる理由は、子どもたちが「自分にもできた」という喜びをエネルギーにして、変化していく様が手にとるようにわかるほど、リアルに書かれているからだと思います。子どもたちを指導する側の熱意にも感動。時には無理難題にさえ思える課題にも、小さなことから初めて、やればできることと、できたときの喜びを一度味わった子どもたちは、敢然と立ち向かっていきます。そんな姿に感動し、こんな環境で人生にとって大事なことを教わった子どもたちが少しうらやましく思えました。とにかく読むと元気が出る本です。僕も今日から頑張ってみたいと思える、超お奨め本です。
・「発達障がいと犯罪?」
私自身、発達障害者です。最近の少年犯罪にはとても心を痛めています。犯罪を犯した少年たちのほとんどが発達障がいだと言うことにさらに心を痛めました。しかし、この本では、そんな少年たちを社会復帰させようとしている教官たちの心が伝わります。発達障がいの特性を理解し、少年たちとともに考えていく教官たち、次第に心を開く少年たち。涙が出ました。是非、読んでください。
・「本来は少年院の外で行われるべきだが」
発達障害の講演会などで宇治少年院での取り組みについて言及されることが多い。それまで、私は恥ずかしながら少年院で少年達にどのような処遇がなされているのかまったくしらなかった。少年院で発達障害に有効なプログラム?なかなか結びつくところがなかった。
重大な事件を起こして入所する少年達。彼らには人の気持ちに共感できない、忘れ物が多い、初歩的な読み書き計算すら難しかったりといった問題を抱えている場合が多かった。連綿と培われてきた矯正教育の成果に発達障害という視点を盛り込むと、おどろくほど矯正の効果があがった。口頭での指示のみでなく、一つ一つ細かく、実演を含めながら指導する。会話を禁止することによって表情などを読むことを覚えていく。技術的な部分も重要だが、根本となるのは一人のこどもに真剣に向かい合う矯正教育への教官達の熱意である。そんな宇治少年院での実践とその経緯を少年達のインタビューと改革に乗り出した教官達への取材を通して追跡したのがこの書である。
しかし、少年院で初めて信頼できる大人に会うというのも切ない話だ。彼らが少年院で受けた支援は本来、家庭や地域・学校などで受けるべき支援だ。これらの少年院の実践は素晴らしい。それでも、少年院でこのような実践をしなければいけない、少年院にはいるまでこのような支援を受けたことがないという現状(今でもさほど変わっていないと思うので、敢えて現状と)は哀しい。
・「新しい視点を得られる本です」
子どもが少年院に入ることになり、少年院がどういう施設なのか知りたかったので買ってみました。前半に著者が子どもにインタビューした話が載っていて、とても参考になりました。少年院でどのような教育がなされているのか、子どもの言葉で具体的に書かれていて読みやすかったです。これまで少年院ってすごく怖いところだと思っていましたが、先生たちが子どもを思う気持ちは、普通の学校の先生なんかよりもずっと愛情に溢れていて、こんな先生に出会えたらうちの子もよくなるんじゃないかと思いました。先生たちの愛情に触れて更生していく子どもたちの姿に、わが子の姿を重ねて思わず涙が溢れました。本の後半は、「発達障害」ということについて書かれていて、少し難しいところもありましたが、今まで「発達障害」という言葉すら知らなかった私にとっては、新しい視点になりました。一生懸命頑張っている子どもとそれを支える先生がいる。私も頑張ろうと思いました。期待を裏切らない本です。お薦めします。
・「母上の頼み」
犯人・梅川昭美の「主役」気取りでセットしてきたアフロヘアからきついヘアトニックの香りがした。自動ドアを風のようにすり抜け二三歩ロビーに踏み込むや散弾銃を天井に向けて発射・・・。42時間におよぶ惨劇のスタートだった、4人を殺害、女子行員を裸にし盾にし、同僚行員の(重体)耳をナイフで
そぎ落とさせ、人質に電話係・見張り係・答弁係・食料運搬係と役割を与え規則違反即射殺という掟でその場を牛耳る。
梅川の過去や動機、事件の時代背景や取り巻く条件を今の時代に語ってもそれはそれ、これはこれで片づけられるのかもしれない。しかし事件の架橋、あらゆる手段が通用せず母親の電話にも
応対しない犯人、梅川に母が捜査員数十人の見守る中震えながら書き出したたった133文字の手紙。
作品中では1ページしか割いていない点だが自分が犯人ならこの直筆の手紙が一番こたえると思う。香川から大阪までヘリで移動させられテレビ中継されカタカナとひらがなの使い分けもよく分からない母親がどんな思いで手紙を書いたか
は当の梅川が1番知っていたことだろう。
新堂「銀行籠城」のベース本といっていいだろう。事実に対して星をつけるのもどうかと思いましたが毎日新聞記者のがんばりに星4つです。
・「やりきれないの一言」
今でも深く心に染み付いているものがある。そのひとつが本書の事件である。子供ながら、テレビを食い入るように見ていた。そして本書を読んで、その事件の悲惨さ、犯人の過去を知り、あまりのやりきれなさを感じている。
本書には、この事件の犯人によって苦しんだ多くの人々が紹介されている。・少年期に起こした事件の被害者、その家族。・少年法という壁のために苦渋の判決を出さざるを得なかった裁判官。・生まれ故郷の市長、教師。・本書の事件の被害者、人質、その家族。更生という名の下に厳罰を適用しない少年法。しかしこの少年は何も変わらなかった。ただ法律の手続きのままに社会に戻ってしまった。これだけの悪事を働いても、生きて生活を楽しんでいる。その姿を読むにつけ、果たして法律とは、更生とは何なのだろうと強く思った。やりきれなさ、その言葉を最後まで感じずにいられなかった。
・「昭和を震撼させた銀行強盗事件」
銀行強盗事件は平成になっていくらか下火になったと思われる。昭和時代には代表的な銀行強盗事件がいくつもあり,その最たるものが,この三菱銀行北畠支店に乱入した梅川昭美であった。犠牲者4名を出したが,そのプロセス事態が異常であったと言える。この本では梅川の個人史にとどまらず,時代考証の面からも丹念に記されており,昭和を探求するためには欠かせない書だと思われる。巻末に,宮崎学だけでなく他の評者の意見を多数紹介するなどして,ページ数が多くなってもよかったと思う。
・「きっかけ」
私が殺人、ノンフィクションにはまったきっかけの本です。生い立ち、実行までの加速、そして実行。その一つ一つがリアルで、その時間の経過がしっかり追えてます。また、特にこの本ではなぜこのような犯罪が起こったのか、について偏った考え方を感じずに読むことができました。結果的に、破滅。そこに至るまでの過程がしっかりと書かれている本です。全く人間としてイメージできないほど、必然的に破滅に向かう姿が強烈に印象に残りました。
・「あさま山荘事件より・・・・」
ナゼいま三菱銀行・梅川事件か。最近読んだ「週刊新潮が報じたスキャンダル戦後史」、この三菱銀行ろう城事件がいちばん印象に残っていました。30代後半の小生、ろう城事件と言えばあさま山荘よりこの三菱銀行事件を想起します。
といってもわたしはまだ小学生だったからディティールまでは覚えていませんでしたがドエライ事件がおきた、異常、という印象だけが残っています。
実際はどうだったんだろうと検索してみつけた本書。毎日新聞の連載をまとめた書ですが、前半は梅川の生い立ち、後半はろう城事件のレポート。突入と説得で揺れる警察、ストックホルム症候群寸前の人質の極限状態。
当然ですが、リアル。
・「わかりやすいです」
民法入門に続いて2冊目です。
民法同様、条文や用語解説に具体例が挙がっているので、大まかなところは早く楽に捉えられると思います。
あくまで入門書です。最初の一冊に読み物としておすすめです。
・「最高!」
本書を読めば、刑法の基本があたかもスポンジの水を吸収するがごとく、頭の中に入ってきます。また、様々な学説の論点などにも触れてあって、刑法の論理もよく分かり、読み物としても非常に興味深いです。入門用の一冊として是非ともお勧めしたい良書です☆
・「貴重な事件記録」
内容に古さを感じるのは、事件が起きた昭和13年当時の記録や証言を多数引用しているためで、若い読者はそこに読みにくさを覚えるのかもしれないけれど、逆にそれがこの事件の舞台であり背景となった村とその時代とをリアルに想像させる。 横溝正史が『八つ墓村』のモデルにしたということとは別に、この事件は病気がちな体や不遇な家庭環境、閉鎖的な村と人間関係、あからさまな性への興味などなどが重なり、しだいに犯人の人格がむしばまれていくさまが記され、興味深い。 今で言えば、たぶん一種の人格障害とされたであろう犯人の被害妄想による犯行は、そこにいたるまでの重苦しい情熱を思わせ、舞台を現代の都会に置き換えてみるといっそう怖かったりもする。 人格がまっとうに育つことの難しさを考えさせるという意味では、近年多く出版される異常犯罪レポート本のさきがけともいえる。 ちなみに、本を読みなれている人なら、べつに読みにくくはありません。私はけっこう面白く読みました。
・「事実は小説を超えていた」
『八つ墓村』(横溝正史 著)のモデルになったこの事件は、小説や映画を超えた恐ろしい事実であった。一夜にして、一人の男が30人の命を奪った。たった2時間足らずで...。
なにがそうさせたのか、自害してしまった犯人からは聞き出せない。確かに家庭環境、村社会、病気、性の問題など動機になりうるものはいくつかあるようだが決め手がない。
現代の心理学、精神医学を駆使しても解明されない部分がこの世に存在すること。そして、「祟り」のようなものがあっても不思議ではないことをこの事件から感じた。
残念なのはこの犯罪が起きる前に予兆があって、防ぐことができたかもしれないということだ。犯罪は解明することよりも、防ぐ手段を立てることが重要であることをこの本から学んだ。
・「ちょっとねぇ・・・」
正直に言って読む価値がないです。言い切ります。どうも読み辛いなぁ、と思って我慢して読みました。でも駄目でした。当時の報告書等を並べ立てるだけで、筆者の分析は全くなく、学士論文としては、当時の社会文化を知らせるのは良いのかもしれませんが、我々庶民が興味として読むには全く役に立たないものです。
・「悲しい。ただ悲しい。」
どこにでもいる小市民である自分が今もなおひっそりと存在しつづける“その場所”の悲しい歴史を簡単に知ってしまったことが切ない。この作品を読む行為は単なる読書ではなく、悲しみの配当を受けることのような気がする。途中に差し込まれている都井本人の顔写真を見たときには体じゅうが硬直した。あなたも必ず硬直する。読んでよかったのか、よくなかったのか、自分でも判らない。悲しい。ただ悲しい作品である。
・「昭和の影と光」
自分のすむ国ではどのような殺人事件があったのか?という疑問からこの本を読みました。海外の事件はよく知っているけどみたいな、人にはお勧めです。
証言をもとに話が進みます。犯人の年齢ごとに物語があり途中からとまりませんでした。
犯人の風景はいろいろな物語のモデルになっており、昭和という時代の光と影を強く感じました。閉鎖的、集落、女、家族などが複雑に絡み合っていきます。そして人として人間としての原点がありました。殺人というよりは悲劇という感じを感じました。自分としては「これでも人が殺せますか?」という思いです。殺人が簡単に起きてしまう現代こそ読むべき本だと思いました。
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