私家版・ユダヤ文化論 (文春新書) (詳細)
内田 樹(著)
「面白かったけど、「私家版」という看板はやっぱり逃げだと思う」「自分の思考のステレオタイプを考えさせられる」「邪悪な人にならないように、自分の仮説に反する事実にも目をそらさないでいよう」「知性とは、「立ち位置」のことである。」「この本、“ユダヤ人”のことだけを考える本じゃない」
地球家族―世界30か国のふつうの暮らし (詳細)
マテリアルワールドプロジェクト(著), 近藤 真理(翻訳), 杉山 良男(翻訳)
「おトクですね。」「イイ!!」「それぞれ自由に眺めてみては?」「とてもいい!!」「面白い!」
言語世界地図 (新潮新書) (詳細)
町田 健(著)
「読ませる言語コラム」「やっぱ外国語を勉強したいかも」「やっぱり」「言語の博識と分布地図が楽しい読み物」「記載内容の偏り」
ロスチャイルド家―ユダヤ国際財閥の興亡 (講談社現代新書) (詳細)
横山 三四郎(著)
「ロスチャイルドの世界系譜。」「歴史と財閥」「動乱で富を成し、同胞を救った一族」
世界を見る目が変わる50の事実 (詳細)
ジェシカ・ウィリアムズ(著), 酒井 泰介(著)
「世界を変える原動力」「世界の現実」「恣意的な統計」「一片の情報、でも看過できない事実。」「知っておくべき事実」
新・民族の世界地図 (文春新書) (詳細)
21世紀研究会(編集)
「世界の民族・宗教紛争の再確認ができました。」「新しい視線での世の中が見えてくる」「オットセイって何語でしょう?」「現在世界で起きている諍(いさか)いの起源は…」
土地の文明 地形とデータで日本の都市の謎を解く (詳細)
竹村 公太郎(著)
「官僚っぽさ全開の香ばしい一冊。」「もっと薄くても良いのでは?」「普段接する事の少ない観点からの歴史 読みやすいです」「何故だろう、が面白い」「目からうろこ」
ミュータント・メッセージ (詳細)
マルロ モーガン(著), Marlo Morgan(原著), 小沢 瑞穂(翻訳)
「この本からどんなメッセージを受け取るか?」「内容の真偽について」「大きな気付きがある1冊」「聞いてショックでした。」「~こういう感覚わすれていたなあ~」
多文化世界―違いを学び共存への道を探る (詳細)
ヘールト ホフステード(著), Geert Hofstede(原著), 岩井 紀子(翻訳), 岩井 八郎(翻訳)
「多様性を理解する有効な切り口を与えてくれる」「文化差異の整理・研究には不可欠な1冊」「必要不可欠な一冊」
「在外」日本人 (講談社文庫) (詳細)
柳原 和子(著)
「「在外日本人」という斬新なコンセプトによる労作」「外国に興味がある人にお薦め。」「海外で働くという視点を、新たに供給した大作」「興味本位で読める現代史証言集」「戦後、在外日本人たちのノンフィクション」
● ボストン読書記3
● 購入待ちキュー6
● 真実が知りたい!
● 明るく生きよう!
● エッセイ
● 小林秀雄賞受賞作
● 考えるといふこと
● 趣味丸出しの本棚
● PHP文春幻冬舎
● なんとなく読書
● ひとっとび→
● 環境と平和
・「面白かったけど、「私家版」という看板はやっぱり逃げだと思う」
本書に「私家版」と銘打ったのは、「できるだけ『わけのわからないこと』を書きたいと思ったから」(p160)だそうだ。でも基本図式はそれほど複雑ではない。
著者は近代社会の根底に、「罪あるがゆえの有責性」というキリスト教的思考法を想定する。ところがユダヤ的思考では、「ヨブ記」に顕著なように「有責性が罪に先行する」(p217他)。この神(=父)の荒々しさは「近代市民社会の統治原則」(p34)に背馳し、ゆえに「特別な憎しみ」(p166他)の対象となる。
ただ、もう少し複雑な論点もある。著者はユダヤ的思考の内実を「自己の判断枠組み自体への懐疑+自同律への不快」と定式化し(p178)、それは「知性」の定義そのものだと言う(p182)。つまり近代社会が真に恐れているのは「知性」であり、「ユダヤ人」とは偶々それを体現した人々なのだ。この点は「深層のフランス」概念に見られるような、生成変化を嫌う「農耕者」的な反知性主義で例示される(p150他)。
ユダヤ人は「この『世界』や『歴史』の中で構築されたものではない。むしろ、私たちが『世界』とか『歴史』とか呼んでいるものこそが、ユダヤ人とのかかわりを通じて構築された」(p199)と著者は主張する。だからユダヤ人の紐帯とは「世界の外」という非在の紐帯であり、陰謀を企む集団という幻覚として回帰する。この「ユダヤ人」は、もちろん「知性」と置換できる。
著者は冒頭に掲げた引用の後、「話のつじつまが合いすぎる」というのは、あまりよいことではない。むしろ「片づかない言葉」こそ記憶に残るのだ、と述べる。しかし、整理のつく話を乱雑なまま放り出すのは怠惰だし、そこに開き直って能書きを垂れるのは、あまり誠実でないと思う(p169の1行目も参照のこと)。
・「自分の思考のステレオタイプを考えさせられる」
イスラエルとヒズボラの戦闘のさなかに、この本を買って読み始めました。何よりも見事なのは、著者の文体です。高度な内容なのに、読んでいて眠くならない。引き込まれます。「説明してやろう」という姿勢ではなく、自分にとっても難しいこの問題を書きつつ解きほぐしていこうとする、いわば著者自身の考える姿勢が、読む側に響いてきます。どの章も面白いのですが、心に残ったのは、「反ユダヤ主義」を生む素地が、どんなに善良で、高潔な人間の中にもあるという指摘でした。正義感が短絡的な犯人探しへとつながることの恐ろしさは、マスコミ報道でよく目にするところです。それは自分の中にもあるという戒めだと、改めて心しました。
・「邪悪な人にならないように、自分の仮説に反する事実にも目をそらさないでいよう」
「1.ユダヤ人はそのつど既に遅れて存在するもの。2.反ユダヤ主義者はユダヤ人をあまりに激しく欲望していた。」ということが、内田先生の言いたいことだそうです。しかし、「1.」については、「レヴィナスとノーマン・コーンという人が言っている」「聖書のヨブ記やマタイ伝に書いてある」という以上の根拠は示されていません。また、「1.」と「2.」のつながりがわかりません。さらにユダヤ人が知的である理由は「1.」だそうですが、その説明がまたありません。こんな具合にこの本は全体では何を言いたいのかさっぱり解らないのですが(わけのわからない話を書くことにより真に教化的なテクストとしたそうですが、全体のつながりぐらいは明確にして欲しいです)、部分は非常に魅力的で有益なので、読んでみる価値有り。「善意の人間が大量虐殺に同意することになるのは、どのような理路を通ってか」、「どうしてA級戦犯のような立派な人間たちが、彼らの愛する国に破滅的な災厄をもたらしたのか」と問う方が、彼らを悪者として切り捨てるより生産的であるとの指摘(p.104〜5)はまことにうなずけます。また、この本は反ユダヤ主義者の歴史や思考過程の詳細な追跡により、善意の人間が邪悪になっていく経過を見事に描き出しています。「「単一の出力に対しては、単一の入力が対応している」という信憑(ペニー・ガム法)」を抱いている人は、陰謀史観を免れることはできない。(p.98)」という指摘も見事です。そのような訳で、この本を読んで私の得た教訓は以下の通り「邪悪な存在にならないように、ペニー・ガム法で思考していないかいつも気をつけていよう」。ユダヤ文化については、何も解りませんでしたが、この教訓を得たことは私の一生の財産です。
・「知性とは、「立ち位置」のことである。」
ユダヤ人論を通じ、知性とは、能力の高さのことではなく、社会的歴史的文脈のなかでの「立ち位置」のことであると、改めて知られる。つまり、マインドコントロールを受けていない子どもだけが、「王様は裸だ」と喝破できる。私達が「王様は裸だ」と言わないのは、遠慮しているからではなく、本当に着物が見えてしまっているからだ。
ところで、ラカンの評価では、著者と違う意見の岸田秀氏も、「ユダヤ人の知性は、その立ち位置に由来する」ことを、指摘していた。
本書の魅力は、「知性は、立ち位置に由来する」ことの指摘にとどまらず、「他の人間とは違う位置に立ってしまったユダヤ人の構造的に導きだされる心性」に踏み込んで、それを描きだしているところだ。マックス=ウェーバー的手法だ。
・「この本、“ユダヤ人”のことだけを考える本じゃない」
著者はあとがきでこう書いている。 「私のユダヤ文化論の基本的立場は「ユダヤ人問題について正しく語れるような言語を非ユダヤ人は持っていない」というものである」 この開き直りとも謙虚とも取れる立脚点こそ著者の慧眼であり、本書をユニークな読み物足らしめている。その論考はまるで、スフィンクスのなぞなぞ、あるいは禅問答のごとくである。“ユダヤ人”の存在は非ユダヤ人にとって「他者」そのものだ。ユダヤ人を規定しようとする試みは、非ユダヤ人の在りようを照射することにもなる。著者の言葉を借りれば“私たちはユダヤ人について語るときに必ずそれと知らずに自分自身を語ってしまう”。“ユダヤ人”とは、とても哲学的な存在なのである。 ユダヤ人差別は僕自身実感を伴わないけど、例えば「在日」や「部落」差別について思うのは、そこに「他者」に対する畏怖(および羨望)の感情が存在するだろうことだ。「ユダヤ人が世界を支配している」といった過大評価は、相手を心底軽蔑しているのなら出てくるはずがない。それは明らかに、自分の矮小さ、「やらなきゃやられる」って感情の表れだろう。もちろんそこには、相手を知らないことの過剰反応もある。ユダヤ人は国民名でもなく、人種でもなく、ユダヤ教徒のことでもない、なんてことすら、実際この本を読むまで知らなかった。 「解」の無い謎であると予め釘を刺しつつ、徹底的に考えること、お座なりにまとめようとしないってことが、他者を、そして自身を深く知ることなんだろうな。この本、“ユダヤ人”のことだけを考える本じゃないね。
・「おトクですね。」
これは本当におトクです。この金額でこの情報量。何よりも好奇心が刺激されます。おうちでくつろぎながら読むにはホントにいい。
ではなぜ、いいのか?それは写真家の人たちが一所懸命その土地の人の力を借りて、対象の家を選定し、1週間ほど住み込んでそのおうちを写真に映し出しているから。生々しいし、暖かいです。撮影中にお父さんが殺されたりしたうちもあります。家具は少ないのになぜかやみくもに絨毯があるうちがあります。めっちゃくちゃ散らかったうちもあります。お父さんが殺されてどうしてるかな?と思うと世界の現状について真剣に考え、調べたりします。絨毯の数と生活のレベルにはこの国では重要な関係があるのかしら?とかおうちが散らかっちゃってる理由とか考えるのも楽しい。
何度も何度も読み返せます。家に1冊あっていいと思います。大人も楽しめるし、子供には想像力をかきたてる媒体となるでしょう。知りたいことは一所懸命調べます。これはもう勉強になるね、とかいうレベルでなくて、子供たちをはじめ、私たちの知的好奇心をすごーく刺激します。そして恐らく調べる事を厭わなくなるでしょう。
ちなみに私のお勧めは最後の方に軽く集めてあるトイレです。クウェートとナイジェリアの対比を楽しんでみてください。
この内容ならもっとたくさんお金出して購入します。そんな気持ちになる本はなかなか出会えないです。
以上の理由で☆は5つ。ホントは10個くらいつけたい気持ちです!
・「イイ!!」
自分の家の前に家族とすべての持ち物(小さな置物から果ては冷蔵庫、車まで…)を陳列して写真を取らせてもらう…、ちょっと想像しただけでも面白そうな企画です。
クウェートの一家の超豪華な持ち物の数々、ブータンの一家の極限まで無駄がそぎ落とされた、ある種神聖なまでの調度品、日本の一家の福袋をひっくり返したかのようなカオス的様相…。
日本に長く生きるとこの消費社会こそが世界の標準と理想であるかのように無意識のうちに錯覚しがちですが、それがいかに間違ったことであるか、日本がいかにオフセンターな状態にあるかがよく分かりました。
旅行で訪れるだけでは滅多に見ることのできない、現地の人の本当の生活風景が実感をともなって迫ってきます。大変にすばらしい写真集です。
・「それぞれ自由に眺めてみては?」
この本を手にしたのは5年程前なので、その時から世界はまた大きく変化した。30カ国のふつうの暮らしを撮るというプロジェクトのもと、選ばれた家族の生活を写真に収め、さらに各国事情や暮らしのデータが掲載されている。私は何でもないふっとした時間に、よく手にとって眺める。一家族につき数枚の写真なので決して情報量は多くない。前にもめくったことのあるページをひたすらめくっては一つ一つの写真を眺める。データを見てはそのお国事情に考えをめぐらす。各国のトイレがずらりと並んだ写真を見るだけでも文化が見える。文化論、政治論、宗教論。ひとつの写真集でいろいろな視点から考えを巡らすことができるだろう。暮らしている国の政治体制や生活レベルが異なるものの、地球のどこかで家族の言語が日々少しずつ作られていることに改めて感動する。
・「とてもいい!!」
写真集なみの写真の数の割に値段は手ごろで、世界各国の本当に普通の暮らしが伺えます。地域間の貧富の差など、改めて色々考えさせられる本です。読んだら、やっぱり日本は恵まれてるんだ…と思いますよ。
・「面白い!」
驚きの発想で世界30カ国を廻って集めた写真と文。文化や環境や気候の違いでこんなにも違うのか!と驚くばかり。日本の物の多さにもビックリします。
ごく当たり前のことだけど、“普通”の基準はそれぞれ違うんだってことを再認識しました。世界は広くて、自分の知らない部分がまだまだあります。読む度に「いろんな国に行ってみたい」と好奇心が沸いてくる一冊です。
・「読ませる言語コラム」
1言語たった4ページしかないのに読ませる。しかも46という取り扱い言語数の多さ。「言語世界『地図』」というだけに、各言語ごとに話者分布の地図が付されていて感心。毎回、言語の特徴をだらだらと書くのではなく、言語にかかわる、政治、文化を織り交ぜて書いているのが面白い。大言語の欄では、大言語へと出世した歴史を描いたり、小言語では、その国の説明から言語の特徴を書いている。ベルギーの「言語戦争」の話も出てくるのだけど、セルビア・クロアチア語など、政治が言語を決め、言語は政治を決めるケースも外国では往々にしてあるのだなということだ。
文法の説明はもう少し深くやって欲しかった気もするけど、各言語で特徴的な文法についてはそれなりに説明されている。個人的には、バスク語に出てくる「能格」の機能がきちんとわかって良かった。
・「やっぱ外国語を勉強したいかも」
言語学一般のほか、日本の方言、ソシュール、チョムスキーについて、明快な解説を世に送り出している言語学者による、非常にうれしい一冊が出ました。雑誌連載をまとめたものであり、概説としてはもの足りない面もあろうかと思いますが、どうにも驚嘆しないわけにはいかないのが、紹介されるそれぞれの言語の特徴の説明。
これまで専門書は言うに及ばず、一般的な概説書であっても、自分が勉強したことのある言語以外のものは、どんなにかみ砕いて説明してあっても、それがどんな言葉なんだかいまいちピンと来ませんでした。膠着語だの屈折語だの、やれ語順がどうしたの、助詞にあたるものが名詞の後ろにくっついてどーのこーの、語根から形成される単語に主語が含まれるだの何だの・・・いろんな言葉が、それぞれ“どーゆーものであるか”を、ちゃんと文法とかを勉強しないままに理解しようとするのは至難の業でした。だもんだから、本書の説明に驚倒した次第です。なんという、わかりやすさであるか、と。もちろん、本当にわかるためには、いっちょ覚悟を決めて少なくとも半年は文法書と格闘せねばならないでしょうけども。
ともあれ他の著作で示した筆者の説明力は、圧倒的に健在。筆者も示唆するように、世界の複雑さに目を止め、そして筆者の示唆を超えて、そこからそれぞれの関心に従っていろんな問題関心を引き出していくにも(そうする必要性があるわけじゃないです、もちろん)、「わけわかんね」と思っているのと、本書を読むのとでは雲泥の差(のハズ)。「説明の力」を目の当たりにする一冊でした。
・「やっぱり」
筆者は「一定の地位を持ちながら使用されている言語はすべてとりあげたつもりです」と書いていますが、ユーラシアに偏り過ぎていて新鮮さは少ないです。アフリカはスワヒリ語(しかも若干怪しい)と南アフリカだけ、アメリカはケチュア語とケベック州(と白人英語)だけ、オセアニアは全く触れられていません(豪州英語が少しだけ)。ロマンス語プロパーの先生なので仕方ないのですが、他の本であんまり紹介されていないような言語をもっと紹介できないのかなと思いました。
・「言語の博識と分布地図が楽しい読み物」
世界の主要言語数十種から見た世界の地理歴史の概観である。言語学に昔から興味がある私は、表題から言語系統図や比較表を含む言語学的な掘り下げを期待して購入したが、筆者の意図はそこにはなく、一般向けの概説だった。系統図・比較表は無く、1編4頁の随筆風だった。月刊誌連載がもとだそうで、知的読者がサッと読んで楽しめることを狙った内容であった。
そういう意図を理解して読めば、筆者の世界の言語と歴史に関する博識に感心しつつ、また表題通り詳細な言語分布地図を高く評価しつつ、1日弱で読める肩が凝らない楽しい読み物だ。世界の言語・人文地理・歴史の要点が簡潔に整理されており、将来参照する時のために取り出しやすい場所に置いておきたい本だ。
・「記載内容の偏り」
言語学への扉としては悪くないと思うが、雑誌の掲載をまとめきれいなく、情報が散乱しているといった感もある。また、最近はありがちだが、アラビア語圏(トルコ語の箇所にもあったが)の文化紹介の中に、唐突に「一部のイスラム教徒による暴力的活動が、国際的に重大な問題を引き起こしているのは事実である P154」などといった記載が見受けられたりする。間違った記載とは言うつもりはないが、「だから将来の相互理解のためにアラビア語を学ぼう」といった結び方もないため、こういった内容を唐突に書くことの意図が不明確だ。他にもこういった前後の文脈とマッチしない意図不明の文化紹介が散在しているのが、本の質を下げている。いろいろな言語や文化をまとめて「言語学概説」を書く人間にありがちな得意不得意の様相が、この本では文化紹介の記述にはっきりと表われている。新書だから単語や内容がとても簡単だというわけではない。この本を読める人ならば、この本を選ばずに、大学の教科書的な本を選んだ方がいいかもしれない。この本のよい点は、サイズが小さいことと安いことだ。
●ロスチャイルド家―ユダヤ国際財閥の興亡 (講談社現代新書)
・「ロスチャイルドの世界系譜。」
大学の宗教学でオススメされた本です。最初の印象は、「薄いな」って感じだったんですが、読み始めると大変中身は濃く、ロスチャイルド家の世界が広がっていきました。 ユダヤ人という事で何度も差別や偏見を受け、しかしそんな圧迫に屈することなく、時にはそれを逆手にとってビジネスを先駆けて巨大化するロスチャイルド家の力には圧倒されるものがあります。また、個人個人が不思議な趣味を持っていたり、だからといってそれが趣味だけで終わらずビジネスにまで結びつくところがロスチャイルド家らしくて好感をもてました。 いつの時代もタイミングを見計らったり、情報を幅広く、手早く手に入れるなどの『ビジネスらしいビジネス』を理想的な形で行っていくロスチャイルド家の手腕はある意味読んでいてすっきりするようなものを感じます。 世界に散ったロスチャイルド家と、世界に広がったにもかかわらず失われることのない家族の絆の素晴らしさ、大切さを感じます。 また、日露戦争におけるロスチャイルド家と日本の関係も大変面白いものがあります。 ユダヤ人についての参考書籍という事だったのですが、家族の絆やビジネスの進め方など、色々な勉強になりました。 また、文体自体も学術書のようなとっつきにくい感じではなく、文学のような感覚で読めるところも魅力に感じました。大変参考になりました。
・「歴史と財閥」
イスラエル建国、ツタンカーメン発掘、ノーベル賞などロスチャイルド財閥が過去二百年の歴史と密接に関わってきたことが分かる。こうなると財閥は世界的には必要な存在なのではと思ってしまった。現在でもダイアモンドのデビアスやリプトンなど多くの会社を所有していることからもその影響力の大きさが分かる。大財閥だけにエピソードも破格。イスラエル建国のために密かに土地を買い占める話や、一族内の高級ワイン戦争などはスケールが大きい話です。日露戦争時の資金調達など日本との関係も書かれていて、他にも興味深いエピソードが沢山あります。
・「動乱で富を成し、同胞を救った一族」
古銭商から身を起こし、有力者へコネと信用をつくり、極秘情報と国境を越えた一族の結束(現代で言うインサイダー取引)で巨万の富を築いた。フランス革命以降の時代の波とディズレリと協調した帝国主義の潮流に乗り、グローバルな情報網を構築した。中学・高校で習う世界史の表舞台には出てこないが近現代史においてロスチャイルド家が果たした役割は大きい。ロスチャイルド家の成功がなければ、イスラエル建国もなかったであろう。本書は1995年刊行の新書であるため、ロスチャイルド家の興隆の歴史の概略を知るだけで、なぜ・どのようにして彼らは富を得、現在のユーロ圏内でどのような役割を果たしているのか、について詳細な分析が見られず、読後、物足りなさを感じるのでマイナス1点とした。
・「世界を変える原動力」
世界における驚くべき事実を、BBCのジャーナリストである著者が明らかにしています。
邦題は『世界を見る目が変わる。。。』ですが、原書のタイトルを忠実に訳すと『きっと世界を変えてくれる50の事実』です。
書の中で語られる事実を一人でも多くの人に知ってもらうことで、世界を変える原動力となる---そういう著者の思いがこめられています。
読み進めていく上で気になった点は以下。・訳がこなれておらず、(原書とよみくらべたわけではないのですが)ところどころ「おや?」と感じる箇所があった。
・当然のことながら、データの切り出し方には恣意性が伴うので、読んだことをそのまま鵜呑みにせず、気になるところは自分で調べなおす必要がある。
世界的に見ればきわめて恵まれた国(戦争がない、所得水準が高い、教育の機会もある)に生まれた一人として、何かできることはないのか、改めて考えさせられた一冊でした。
・「世界の現実」
統計と、わかりやすい数字をもとに世界の現実をあらわしていこうという本。この本には、ショッキングな事実が描かれている。例えば、「世界にはいまでも2700万人の奴隷がいる」、「世界で3人に1人は戦時下に暮らしている」。他にも、戦争、環境や貧困などに対する、著者の強い問題意識を感じさせるコラムが寄せられている。シリアスな話だけではない。ブラジルには軍人よりも化粧品の訪問販売員のほうがたくさんいる」、「アメリカ人の3人に1人はエイリアンがすでに地球に来たと信じている」などのユニークな数字も。こういう形で世界の姿が少しずつ明かされていく。とても興味深い本だ。
・「恣意的な統計」
「パンを食べるアメリカ人のほとんどは、重大な科学的事実と無意味な統計の区別がつかない」という結論で終わるジョークがある。このジョークは、恣意的な統計がことごとくミスリードのタネであり、どんな奇想天外な結論をも補強し得る無意味なものであることを端的に示すものだ。そして、そのようにして「作られた」結論にはやっぱりというか当然というか、全く有用性が伴わないのである。
この本のネタは、意外性を強調するために異なる基準で収集された数字を比較しているものばかりである。他人に教えて物知り顔ができるのがトリビアの良いところだが、この本の内容を他人に吹聴しても、場がしらけるのがせいぜいなのではないだろうか。
・「一片の情報、でも看過できない事実。」
■「知ること」が、世界を変えるためのささやかだけれど大切な一歩。 世界の矛盾の多くは、 富める先進国と貧しい途上国との不平等に起因している。 そんな思いで、紹介されている50の事実。 あとがきで、訳者がこうコメントしています。
「知らない」ということは罪深い。 知らずにすませていることが、声なき人々の細い叫びを聞き逃し、 自らの快適な暮らしの付けを他者に押しつけ、 期せずして他者を収奪する結果を招くことになるからだ。
■私たちが愛用している携帯電話やパソコンを作るために必要な希少原料が、 「アフリカの世界戦争」の火種になっていたとは、 訳者同様、私もつゆ知らず、不明を恥じるばかりです。
・米国の防衛費(約3960億ドル)は、「ならず者国家」の防衛費の33倍 ・米国は国連に対し、10億ドル以上の未払い金がある こんな二つの事実を重ねあせてみると、 なぜ米国の防衛費の一部を国連負担金の未払い処理に回せないのかと、 憤らずにはいられなくなります。
■読み終えると、何かしなければ・・・との思いが内に湧いてきます。 一人でも多く、また子供たちにもぜひ読んで欲しい一冊です。
・「知っておくべき事実」
50の事実で世界を変えることはできないかもしれないが、人々の「意識」を変えることはできる、著者はそんな風に言っています。
いくつかその事実を挙げると、 ・日本人女性の平均寿命は84歳で、ボツワナ人の平均寿命は39際。
・七十カ国以上で同性愛は違法、九カ国で死刑。
・ロシアで書いていない暴力のために殺される女性は毎年12000人を超える。
・拷問は150カ国以上で行われている。
・毎年200万人以上の女性が性器切除される。
・世界には今も2700万人の奴隷がいる。
などなど。それぞれに解説がついていたり、さらに詳細な事実が述べられたりしている。 訳者の後書きにも書いてあるように、具体的で万能な解決策が述べられているわけではない。全ては読む人の意識を変えるためであるから。
・「世界の民族・宗教紛争の再確認ができました。」
以前読んだ「民族の世界地図」の出版が6年前、その後に9.11、更に複雑になった世界の民族問題、そしてここに出てきた「新・民族の世界地図」には満足している。まず世界中を網羅しており、その内容の密度、情報の豊富さ、新書であっても読み応えは最上級と思う。21世紀研究会編としては、地名、人名、常識、色彩、食のそれぞれ世界地図が出版されているが、いずれも十分な量と内容と思う。しかし私は本書「新・民族」が最も気に入っている。民族問題は宗教問題と同じく地域政治、国際政治的に常に世界の不安定要素として存在する以上、知識の整理や、ビジネス上、教養的にも本書のような手引書は有難い。日本人は世界の民族問題をもっと理解すべきであり、特に海外渡航にはガイドブックのみ持って行くのではく、本書のような書も必携ではないかと思う。また何年か後に「新々・民族」を出して欲しい。
・「新しい視線での世の中が見えてくる」
言語、民族、宗教が入り混じって今日の社会が微妙なバランスの上に作り上げられ、または衝突や戦争を生んでいるということが痛感しました。またまったく知らない国や島、民族の話も書いてあり、新しい興味をそそられます。本書読後は毎日の新聞やTVの世界における紛争や緊迫についての報道は表層的であり、なんとなく理解していると思っていること事態きわめて危険だと思えてきます。
・「オットセイって何語でしょう?」
非常に面白い。民族という集団が形成されてきた経緯(=歴史)からその結果生じている問題(=紛争)まで、要領よくまとめてあり理解しやすい。新聞の国際面を見る際に非常に役に立つ。加えて「トナカイ」という名詞がアイヌ語由来であるという事実や、イヌイットという名がエスキモーよりも差別的に受け取られる場合がある、など雑学的話題も満載である。
・「現在世界で起きている諍(いさか)いの起源は…」
世界の民族分布から、その対立・紛争、差別・偏見…等々。世界中で今起きている事を民族という視点でまとめており、分かりやすく充実している。
・チベット仏教の話。・アボリジニの話。・アフリカの民族紛争。・中東・アラブの宗教対立。
個人的には、民族の問題を語る上での、言語とその記録の重要性が印象深かった。
過去に我々の知らない言語が存在していたとしても、記録がなれば、その文化ごと存在しなかったことになってしまうあたりとか。
あと、民族の起源、派生についても興味深い。冷静にみれば、英語もフランス語もイタリア語もドイツ語もラテン語の方言で、最初は、東北弁と関西弁程度の違いだったはず。それが、“関西人はこうやで!”的なナショナリズムがだんだん強くなっていくとボーダーが高くなり、理解しあえなくなる。もちろん、地理的要素や宗教的要素は関係してくるけど、現在世界で起きている諍(いさか)いの起源は、結構そんな身近なロジックのような気がした。
・「官僚っぽさ全開の香ばしい一冊。」
別に、236ページに「河川局の海岸室に電話をして、その図が今でもあるかを問い合わせた」とあるのを局長様による公私混同だとは思いません。ところどころ出てくる「国土交通省提供」の写真とか「国土地理院提供の数値地図のデータを用いて作成した」海進図とか、当然、一般市民でも使える方法で手に入れられたのだろうと思います。また、第10章で大阪の横丁の狭さを褒めた舌の根も乾かないうちの第11章で「街の安全を守るために」(p.206)区画整理による街路幅の拡張を主張するなんていうのも出世した役人らしい融通無碍ぶりで微笑ましい限りです。さらに、通り一遍しか見ていないで「大阪-皮膚感覚の街」とか言って「単身赴任の私などはアッという間に受け入れられる」(p.181)なんてのろけるのもかわいいもんです。
と、まあ香ばしくもつまらないところ満載ですが、それを置いても、この本の面白いところは、忠臣蔵や石狩川捷水路工事を「農業」の重要性という観点から説明しているところです。農耕という要因は、歴史や軍事、政治を語る上でどうしても見落とされがちなところですが、それを農水省ではなく、旧建設省上がりの「社会資本整備の論客」(奥付)が言っているところに妙味があります。
最後に。207ページに「自治体職員の励まし」とありますが、余計なお世話でしょう。
・「もっと薄くても良いのでは?」
面白かった点・・・石狩川の治水と吉良家潰しの秘密、胸まで浸かった湿地帯の田植えなど、著者の専門的知識が生きるテーマは新鮮で、購入して読む価値はあったと思う。つまらなかった点・・・一方、時代遅れの「日本文明特殊論」を当然の事実のように語ったり(しかも文中いたるところで。「つくる会」の影響なのでしょうか?)、B型肝炎ウイルスの亜種から大陸系と南方系の日本人の分布について語ったり(それならATLウイルスも検討しないと中途半端と思うんですけど)、専門知識以外の面での詰めの足りなさが気になってしまいました。結論・・・珠玉の専門知識を、灰色の一般知識で水増ししてしまったので、輝きがくすんでしまった作品。惜しい。
・「普段接する事の少ない観点からの歴史 読みやすいです」
著者は建設省出身の国土交通省を退官した、元高級官僚。官僚でもおもしろい文章を書く人はいるのだと感心する。
都市(土地)が発展する要素において、各共通の条件があるとするならばまさしくそれは文明論であろう。そういった意味で著者がつけた題名は納得がいく。
本書は、半蔵門や赤穂浪士の謎、日本の各都市の盛隆を歴史を交えながら、独自の視点で分析してゆく。
特に江戸の赤穂浪士に関する、吉良上野介に対する著者の推論はおもしろいと思います。
著者は本書でこう述べている
「歴史の楽しみは、タイムトンネルを抜けて、当時の人々の気持ちになり、彼らの時間を追体験していくことである。」
まさにそんな体験をさせてくれる本書です。
・「何故だろう、が面白い」
都市のインフラ、という視点で街を眺めながら突き当たる著者の「何故だろう」が次の考察を呼び、最後に一つの歴史の謎解きになっている、という読み物として非常に面白い本です。
不必要にインターネットを攻撃したり、道路建設を擁護したり、「臭み」もあるのですが、視点の新鮮さには感服で、★五つとします。
鎌倉に幕府を開いたのは、頼朝が衛生的な都市を志向したからだ、とか奈良から京都の遷都は、背後の森林が荒廃したからだ、とか、歴史学者が真面目に検証すべき仮説がフンダンに盛り込まれていると思います。今後の議論の出発点になって欲しい本です。
・「目からうろこ」
何気なく見ている風景の中に、人が長い間、そこに住み、自然と格闘し、あるいは折り合いをつけてきた徴が隠されている。その徴を見つけ出し、真相を掘り出していく筆者の炯眼にただただ脱帽。 歌川広重の一枚の絵から、半蔵門が実は表門だったことを見抜き、さらには、赤穂浪士の麹町潜伏の謎を解き、矢作川新田開発につながるストーリーはなかなかのものである。 ここまでだけでも、脚色すれば文庫本2冊位の歴史ミステリーにでもなりそうなところを、筆者は誇らずに淡々と書いていて却って好感が持てる。少しもったいない気もするけれど・・・ 他にも、石狩川改修と水田開発とか、川の流域内の森林資源容量から耶麻台国の位置を推理するなど、思わず唸ってしまうようなネタが惜しげもなく披露されている。
・「この本からどんなメッセージを受け取るか?」
現地のアボリジニ協会から非難されているそうですが、それがイコールこの本がインチキ本という事なのでしょうか?そもそも、本書に登場する伝統的な古来からのライフスタイルを頑ななまでに守っているアボリジニと協会でデスクワークをしている現代的なアボリジニの間に意識の隔たりがあっても不自然とは思えません。
少なくとも私は本書からネガティブな印象を得ず、正しいメッセージを受け取ったと思っています。
・「内容の真偽について」
読む上で、人に薦める上でふまえておいてもらいたいと思い、書かせて頂きます。
この本は虚偽の部分があるため、オーストラリアのアボリジニの人々から抗議を受けているそうです。抗議文からの抜粋です。「オーストラリアのアボリジニーは、白人の女性が自己宣伝と私欲を目的にアボリジニーの文化を間違って伝えている事実に大きな憤りを感じています。」
参考URLを書いてもいいのですが、不可になるかもしれないので控えます。「ミュータントメッセージ」でサイト検索すればヒットすると思います。
・「大きな気付きがある1冊」
アボリジニー(オーストラリアの原住民)の生活、精神性をアメリカ人(現代人)の視点でリアルに抉り出している。この世界では古典的名著と言えるのではないか。
有名ではありませんが、現代人の我々に忘れがちな生き方を教えてくる素晴らしい本です。自然の声を聞き、自然と共生し、「土地は神様からの預かりもの」だから、土地所有の概念がなく、病気を祈りで治すアボリジニーの姿に感銘します。
「地球は生物が住むのには汚れすぎている」ために、彼らは地球に転生しないそうです・・・。小説ではなく、ノンフィクションというところがシビレマス。
・「聞いてショックでした。」
こういった事実はないとアボリジニの人々は各地で運動を起こしているそうです。文中に登場する人物も、現地の部族の中に存在しないそうです。
・「~こういう感覚わすれていたなあ~」
人間は、もともともっと違う生き方をしていたのかもしれないとよく思う。立派な店で高いお金を払って加工した食べ物を食べなくても、きれいな服がなくても、お化粧しなくても、電気がなくても、お風呂がなくても、実はすごく豊かに生活できるのかもしれない。そんな疑問をもったことがあるあなたにおすすめです。 物質的に満たされる事(自分以外の要因で充足感を得る)を追求しなくても、自分自身が精神的に満たされた生活を送ることもできるのだということを教えてくれます。また、人と人と、こんなにも深く付き合えるのだと気づかされもします。 バックパッカーをしていた頃の気持を思い出す、お気に入りの一冊です。
・「多様性を理解する有効な切り口を与えてくれる」
各国の国民文化の違いを『五つの次元』で分類し説明している。この『五つの次元』は、例えば、権力格差の容認度、不確実性の回避度、等、である。これらの軸で整理することで、アメリカ、日本、ヨーロッパ、東南アジア各国などの行動特性の違いが良く理解できる。
海外からの訪問者の増加、企業活動のグローバル化の進展、などにより、我々日本人にも文化の多様性を理解し行動することが益々求められている。この多様性の理解を助けるためにもぜひとも読みたい一冊である。
・「文化差異の整理・研究には不可欠な1冊」
大学院の研究課題で異文化(海外)の中での理想的なマネジメントを追求する際に避けて通れない文化の壁が出てきました。海外で活躍するビジネスマンがよくぶつかる当地文化の壁、理解できない行動、言動・・・。これらがどこから来るのか、どう整理すれば納得いく説明がつくのか云々。この本は文化を5つのダイメンションに分けて明解に分析されています。色々な文化関係の本が出ていますが、これは海外赴任後の駐在員がぶつかる異国文化の壁を科学的に整理することができ、特に2国間、多国間の文化比較の学術研究書としても最も理解しやすいと思います。
・「必要不可欠な一冊」
「文化ってなんだろう」と考えていたときに読みました。目から鱗が落ちる一冊です。特に、「人間の価値観は12歳までに形成される」という指摘は、異文化に属する人々を受容し、共生していくための、心と思考の準備のスタートラインともなる言葉です。自分自身の異文化体験の途上でこの本を読み、思考が整理されました。「文化を比較する」ことは、非常に難しい作業であると思いますが、ホフステードは5つの価値観を見出すことで、その難しい学術作業を成し遂げたと思います。
・「「在外日本人」という斬新なコンセプトによる労作」
初版は10年前、書店でタイトルが目に入った。「在外日本人」。とても新鮮だった。我々はよく在日外国人という言葉を良く使う。しかし、在外日本人という「概念」を作りだしたのはこの著者柳原良子氏が初めてだろう。この言葉にはただ単に観光旅行や仕事の出張者は含まれていない。あくまで、外国で生活をしている日本人、という意味合いが強い。それがいまや300万人というのだから驚く。45カ国100人を超す在外日本人の物語。全部が全部面白かったとは言わない。しかし、その総体は、こんな日本人がいたのか、こんな生き方もあったのかと分厚い本だったけどとても刺激的で面白かった。とくに会社の駐在員の人より、文字通り、組織とは関係なく生きている人たちの人生が面白い。どれかひとつ例をあげるのは難しい。こんな日本人もいるんだという、勇気付けられる、日本人の可能性を感じさせられるものがかなりあった。柳原さんは400を越す取材から108の話に絞り込んだらしい。なんという執念か。この労作を書き上げるための日々に拍手を送るとともに感謝したい。柳原氏はその後、若くしてガンを患いいまも闘病されていると聞く。そんなかで今度は「ガン患者学」という本も出された。強い人だ。地味な本だが、タイトル通りさまざまな「在外」日本」の生き方が発見できる。分厚くても一話は簡潔だ。是非、読んでみてください。
・「外国に興味がある人にお薦め。」
この本は普通の文庫本の倍以上の厚さである。が、海外に興味のある人なら、一気に読んでしまうほど面白い。著者が地道に取材したという世界各国にいる日本人の話を集めたもので、職業も境遇もさまざまで、読んでいてわくわくした。外国で暮らすことは容易ではないだろうし、人生いろいろだと、考えさせられる一冊でもあると思う。
・「海外で働くという視点を、新たに供給した大作」
宇宙コンサルタントから精神科医まで、養鶏業者から博物館研究者まで、ありとあらゆる分野の職業を持つ人をインタビューの対象にしている。インタビューされる人の共通項は「在外」であるということだ。出版当時、「在外」という言葉はまだ非常に新鮮で、海外居住邦人の参政権すら認められていなかったほどである。職業上の特技を身につけ、大変な労苦を惜しまず海外で働く人々の姿が、本書によって鮮やかに浮き彫りになった。
現代においては、本書執筆当時に萌芽期だったインターネットが全盛を迎え、携帯電話さえ国内外の境界がなくなりつつある。在外勤務も珍しいことではなくなり、日本人居留の多い都市では、海外赴任のパッケージが充実したものとなりつつある。本書は、ITがここまで発達した以前に海外で仕事をする邦人の模様を眺めたもので、近現代史の一面を書き留める重要な史料ともなろう。
なお評者は、大学院生時代に本書を読み通して大きな感銘を受け、海外で働く道を模索してきた。それがようやく叶い、海外居留となった。本書が私の人生の先導者となったのはいうまでもない。なお、筆者はただいま闘病中と聞く。一刻も早い快癒を祈念するとともに、本書の続編も期待する。
・「興味本位で読める現代史証言集」
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・「戦後、在外日本人たちのノンフィクション」
戦後、海外在住した日本人たちの人生がわかります。世界各地で、さまざまな仕事に従事されているのですが、彼らの話はなかなか読み応えがあります。 ただ、共通していえることは、海外では、不便なことも多く、苦労されている点です。 また、その国ならではの政情などに人生が左右されていることもわかります。
中でも成功された方は、芸術に長けた人々で、外国でも人脈やその芸で外国人相手にパフォーマンスされたようです。 今後も、海外で暮らしてみたいと望む方もあるかもしれませんが、先輩方の話は一読の価値ありです。
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