笑う警官 (ハルキ文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「いやぁ、おもしろかった」「ぜひ映画を見てみたい。」「2時間ドラマ」「なんじゃ、これ」「これは掘り出し物!!!」
警察庁から来た男 (ハルキ文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「面白い」「ラストは作りすぎ」「続編らしくスピードアップ」
「良作!」「建前と現実の隙間を埋める、3人の警官の生き方」「人間の物語」「すみません。上巻しかまだ読んでないです。」「上巻が読み応え十分なだけに・・・」
「繰り返される運命の先に…」「直木賞とるかと思ったけど…」「継承し続けた遺伝子の尊さ」「読んでてわくわくした」「変遷の物語」
冒険者カストロ (集英社文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「カストロ」「天才の生涯」
エトロフ発緊急電 (新潮文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「時代と悲しい人々」「良い小説」「択捉島で何が起きたのか」「女でも泣けるんです。」「何度も読んでます」
ベルリン飛行指令 (新潮文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「航空史のIFに挑んだ力作」「三部作の第一弾」「再燃してほしい」「フォーサイスはぶれない」「零戦は太平洋戦線だからこそ」
夜にその名を呼べば (ハヤカワ文庫JA) (詳細)
佐々木 譲(著)
「珠玉のハードボイルド」
ユニット (文春文庫) (詳細)
佐々木 譲(著)
「徹夜本かも」
・「いやぁ、おもしろかった」
捜査費流用の裏金疑惑と汚職スキャンダルで揺れる北海道警察。上層部の隠ぺい体質に現場の士気はガタガタという中、マンションの一室で美人婦警が殺害される。容疑者としてあがったのは、婦警の元恋人で刑事の津久井。津久井は姿を消し、道警上層部は即座に津久井を指名手配、さらに発見次第の射殺命令を出す・・・。だがこれには裏があり津久井は警察内部の裏金スキャンダルの重要証人だった・・・。元同僚の刑事佐伯は、津久井の無実を信じ立ち上がる。警察の現状に危機感を覚える仲間たちを募り、真犯人を探す私的な捜査を始め、津久井をかくまう。口封じのため射殺を辞さず、警官の大量動員を行い執拗に津久井追うエリート上層部。対するは、いままで光があてられることもなく地道に愚直に黙々と働いてきた中年男を中心とした現場の警官たち。警察組織を舞台にタイムリミットもののストーリーを見事に構築する。そのスピード感。横山秀夫とはまた違った警察モノの快作。さらに終局は思いもよらない大規模な活劇をみせる(映画化すると面白いだろうな、と思う。ラストシーンの映像も決まり、という感じだ)。一気呵成に読み終えた。見事
・「ぜひ映画を見てみたい。」
星4つは、この作品を小説としてではなく、映画のシナリオとして評価したものである。小説としては、破天荒で粗いものであるが、映画のシナリオとしては非常に魅力的である。最後の最後に映画化されると知ったのだが、読んでいる途中から、これって映画にしたほうが面白いんじゃないかと思っていたので納得である。まさか、ジャニーズ系のジャリタレ主演なんていうことはないと思うが、あっといわせるキャストでお願いしたい。キャリア警視長には、水谷豊なんていうのはどうだろう。
・「2時間ドラマ」
2006年度版このミス10 10位。 2005年文春ミステリーベスト10は選外。
さくさくと読める作品であるが、おそらくミステリーファンであれば、この手の作品は何回も読んだことがあると思う。もちろん、設定は異なるのだろうが、そのくらい「新しさ」を感じない作品であった。
内容としては、北海道警の汚職に関連して殺人のぬれぎぬを着せられた警察官を、仲間の警部補達が救う、という話である。ここに、この警察官が明朝うたう(上層部の意に反して警察の内情を語る)予定である、というタイムリミットをかませているところがこの作品のウリなのであろうが・・・。
いくら小説の世界とはいえ、ここまで簡単に殺人をでっち上げ、しかも「即刻銃殺」という命令が簡単に下りるのだろうか? あるいは、逆にどんなに優秀な捜査員をそろえたとしても、夜から朝までの数時間で事件を解決できるのであろうか? そして、真犯人がこんなに簡単に罪を認めるのだろうか? 読み進めながら腑に落ちない点が多々あり、作者の都合で、現実離れした進行をしているような印象をうけた。
一言でこの作品を言い表すことができるのであれば、「2時間のサスペンスドラマの台本」である。 つまらなくはないが、あえてこの本を読まなくてもよい、そんな作品だ。
・「なんじゃ、これ」
「なんじゃ、これ」リアルな警察物かと思って読んだら大間違い。マンガや刑事ドラマでやってくれと言いたくなる。がっかり。
・「これは掘り出し物!!!」
<掘り出し物>なんて書くと、推理作家協会賞、山本周五郎賞など数々の受賞暦のある筆者に失礼かもしれない。だけど、どちらかというと歴史もの、戦争ものが得意な作家だと認識していただけに、この作品が本格的な警察小説として見事に完成されているのに驚いた。
北海道警察で実際にあった汚職刑事の事件をベースに、腐敗しきったように見える組織のなかで、反骨精神と仲間意識を胸に腐敗と戦うために立ち上がる刑事たちの活躍を描いている。道警の腐敗の真相を知る若い刑事が、身に覚えのない殺人の容疑を着せられ、組織に追われる。上部からの圧力で一方的に捜査の方向がゆがめられていく中で、彼を信じ、救うために集まったのは、汚職事件が原因で起きた大幅な人事異動で、専門外の部署から刑事に抜擢された所轄の<素人刑事>たちだった。
一晩という時間制限のなかで、特殊急襲部隊まで出して全力で口封じを図る組織から、刑事の命を守り、同時に彼の無実を証明して真犯人を暴かなければならない。
登場人物たちがスーパーマンじゃないけれど、うまく前職(?)を生かし活躍する。話もちゃんと裏切りあり、意外な真犯人あり、で楽しめます。警察、刑事小説好きにはかなりのおすすめです。
・「面白い」
道警シリーズ第二弾。第一弾はまだ読んでないけど、第二弾の本書から読んでも十分に面白い作品。警察ものの小説はどこか大げさな感じがするものも少なくないが、本書はそのような感じはせず、淡々と進むのが心地よい。ストーリーもしっかりしており、おススメできる本です。
・「ラストは作りすぎ」
兎に角、ラストが作りすぎ。千歳で銃撃ったり、人殺したり。別に千歳で普通に捕り物して逮捕した方が、リアリティを感じました。途中まで、良かっただけに残念です。うたう警官も読んでいますが、やっぱり主役達のキャラクタに、今ひとつのれません。魅力がないです。北方や東直己のほうが、やっぱりおもしろいと思います。
・「続編らしくスピードアップ」
前作「うたう警官」(「笑う警官」)を受けての2作目は1作目が丁寧に状況設定を作り上げたので、テンポ良く展開していく。 相変わらず、佐伯刑事ほか、津久見、小島の主要な役者は健在であった。ラストも分刻みの描写に心躍った。次回作には、さらに新展開を期待する。
・「良作!」
良作でした。あっという間に読み終わりました。
祖父・父・子と三代続く警官人生です。
善良な警官として生きようとする彼らがいろいろな苦労に直面しています。非常にリアルです。
警官の人生やその周りの人々の人生もしっかりと描かれています。
ただ、個人的には、足りない部分があったので(もっと読みたかった!)、全4巻くらいにすると満足できたのではないかと言う気がしますので、星4つ。
でも、満足でした。
・「建前と現実の隙間を埋める、3人の警官の生き方」
三代続いた警官の家系。祖父も、父も、制服を着たままその生涯を終え。息子は祖父と父の生涯から、警官として生き抜く術を憶えた。法権力の執行者たる警官として、完璧な市民であり、品行方正・清廉潔白であるべき建前と。その建前が通用しない、現実と。駐在所勤めの、警邏警官として。あるいは、潜入捜査官として。その建前と現実に、折り合いをつけて生きていくことの難しさ。
佐々木譲の本を読むのは初めてだが。詳細な描写、というよりも、画素数の少ないモノクロの映画を思わせる、語り口。伝えたいメッセージは、ダイレクトに伝わってくる。陳腐な表現だが、骨太な小説。
・「人間の物語」
佐々木譲の作品に初めて触れたのは「鉄騎兵、跳んだ」だった。若い新人の熱い情熱に惚れ込んだのを覚えているが、その後年月をへて、作品に渋みと深みが加わってきた。
「ベルリン飛行指令」、「エトロフ発緊急電」あたりからはこのまま世界を舞台にした大型の冒険小説を手がけていくのかなと思っていたが、近年警察小説で佳品を生み出すようになった。「警官の血」はその集大成とも言える作品である。
重みのある作品であるが、決して難解なものでないのは、何より人間が描けているからだろう。警察官も、もちろん人間である。その人間の生き様が描かれていることにこの作品の価値がある。これは警察官としての「人間の物語」である。
・「すみません。上巻しかまだ読んでないです。」
受賞作として書店で取り上げていたので読んでみましたが、上巻ではなかなか物語が目だった動きがありません。4分の3くらいまで読みましたが、正直退屈になってきてしまいました。
・「上巻が読み応え十分なだけに・・・」
親子孫三世代に亘る物語。親子の物語が読み応え十分だっただけに、孫の物語の希薄さが際立ち、結果として物語全体が不完全燃焼だったとの読後感が残った。
・「繰り返される運命の先に…」
三代目は、たくましくなった。警察機構の隅々まで知りつくした、したたかなノンキャリアのエースとなった。しかも、彼を動かすものは私利私欲ではない。彼のスーツの胸には、祖父のホイッスルがさがる。市民の暮らしを守る警察官の誇りをもって、今も高らかにその吹鳴を響かせるのだ。 謎解きもきちんとあるべきところに収まる。しかしこの小説の優れたところは、三代を経て到達した和也警部補の、本庁捜査二課主任としてのりりしい姿を描き出したところにある。
・「直木賞とるかと思ったけど…」
下巻の内容は警察官2代目の民雄が程なく天王寺駐在所勤めになるところから始まり、いよいよ父の死の真相についての調査に着手。ここでのストーリーも特に大きな事件はなく、管轄内のアパートにすむ暴力亭主の案件がメイン。その亭主が何者かに殺されるところから急展開で最後は殉職。続いて三代目の和也の話。和也は大卒で警官となるが、警察大学校卒業後、意外な配置につく。そしてそこですべての謎が解き明かされて・・・というストーリー。
本当に面白くて下巻も二日で読み終わりました。昭和23年から平成19年までを駆け足で一気に描き、最後の終わり方はちょっとアテが外れた感がなくもないんですが、とにかく買って損はないと思います。おそらく一度読んだ後に読み返すと、見逃してた伏線が色々でてきそう・・・。
・「継承し続けた遺伝子の尊さ」
週末、馴染みの店のマスターがしきりに賞賛するので、上巻のみを借りた。ところが、前夜の酒が残ったおそい土曜日の午前、ふと読み始めたら、もう止まらない。(未読の方は、必ず上下一緒に買われることをお薦めします)
終戦直後の東京下町から幕が開く、ある平凡な警察官親子の物語。しかし、「平凡さ」とともに、時代の相貌を見事に織り込みながら(ときに臭覚にも訴えつつ)展開される確固たる筆力は、ほんとうに唖然とするくらい上手い。もう、最初の10数頁でぐいぐい惹きつけられてしまった。土曜深夜に上巻を読了する“危険性”を回避するため、夕暮れ時に下巻を買いに行くことになったが、寒気を凌ぐ、物語に籠められた熱さが体を貫いていく。
結局、土日全部と月曜の朝までほぼぶっ通しで、2冊を読み切ってしまった。上巻は、応召体験のある清二と、その子民雄が主人公。民雄は昭和40年代の学生運動最盛期に成人する。下巻は、民雄と、その子和也が主人公。時代は昭和から平成へと移り、犯罪者の質的変化、警察機構の軋みなどが、存分に盛り込まれてゆく。
もし、ミステリーとして評価されたのなら、それはそれでいい。しかし、犯人捜しだけに限ったら、大抵の読者は途中で、「誰か」に(或いは「なぜ」にも)気づくはず。だからといって、この作品が二流な訳では、決してない。むしろ自分は、この上下2冊を、戦後日本人が備えていた「種」が、半世紀をかけてじりじりと変容し、脆弱になりながらも、継承し続けた遺伝子の尊さ、…その軌跡を描いた博物誌、として読んだ。傑作。
・「読んでてわくわくした」
ダイナミックな仕掛けはない。登場人物は凡庸で、末路はなかなかに痛々しい。それにも関わらず人生の機微と時代がきちんと描かれて郷愁を誘う。何というか、読んでいる時間が実に楽しかった。
・「変遷の物語」
安城清二は戦後の大量採用時に警官となり,天王寺駐在所の制服警官となった。昭和28年に鉄道員殺害事件がおこり,5年前上野に勤務していたときに発生した男娼:ミドリの殺人事件との関連性を疑いはじめる。しかし,駐在所に隣接する五重の塔が火災となった際に不慮の事故により命を落とすことになる。その警官の血は息子:民雄,孫:和也へと脈々と受け継がれていく・・・
戦後の混迷機から現代までを舞台に親,子そして孫三代の警察官の人生を綴った物語である。上下巻ながら展開が早く,あっという間に読める物語であった。時代の移り変わりが,住居・事件・病名・警察組織などあらゆる場面にちりばめられていて,それも一つの勉強になった本であった。上記にある二つの事件に関わる謎を中心に,それぞれの代の警察官における時代の葛藤がとても重く感じられた。同作家の『制服捜査』と同様に大変心に残る物語であった。
・「カストロ」
キューバ革命の指導者カストロの人生が書かれています。かなり、有名な指導者ですが、チェ・ゲバラの方が、注目が高く、一般向けの本は少ないのではないでしょうか。知られざるカストロの人間像がわかります。カストロの生い立ちや大学時代、チェ・ゲバラとの出会いなど、カストロを理解するのにとても良い本だと思います。また、当時のキューバや中南米の時代の空気が伝わってきます。巻頭には、カストロの写真も載っていて、いいです。若い頃は、ヒゲはやしてなくて、かなり雰囲気違うので、一度見た方がいいと思います。結構上品な感じです。現在みているイメージによる先入観を変えてくれると思います。
・「天才の生涯」
日本ではカストロは共産主義者ゆえにあまり多く知られていないが、人間としてはまさしく天才に近い人物で、全面的な能力に長け、人間としての魅力もずばぬけている。この本は天才カストロのこれまでの生き様が描かれていて、カストロという天才のすごさを実感できる。
・「時代と悲しい人々」
この作品に現れるのは様々な視点を持った人々だ。自国を滅ぼされた朝鮮人スパイや南京で恋人を日本軍の虐殺によって失った宣教師、スペイン内戦から帰国した殺し屋で一見アナーキストの主人公など。太平洋戦争前後の様子を、史実を歪めることなく、かつ豊富な登場人物とその経歴を描き上げる事で小説化している。佐々木譲の作品は膨大な資料の取材を感じさせるものが多いが、それでいて頭でっかちに終わる事が無いのは小説を彩る個性的な登場人物によるからだと思う。
後半に突如現れる主人公と女との愛。ここで私は大きな問題を考えさせられる事になる。日米2つの国を揺さぶるスパイという使命を負いつつ、その使命と目の前の一人の女とを天秤にかけて図ろうとする主人公。国家・体制とは、イデオロギーとは、そして一人の人間の存在とは、ということを深く考えさせられる一冊だった。それほどまでにこの小説の結末は悲しすぎた。 読み終わった後に哀しさで感動する事はあまり無かった。だがこの小説を読み終えた後、なにかとてつもなく大きなものを失ったような哀しさを味わった。それだけこの本に引き込まれた。何度でも読みたいと思う。
・「良い小説」
良い小説は「面白いこと」に第一の存在意義があります。面白さの条件は三つのSを満たすことです。スリル、スピード、サスペンス、+恋愛要素で何かを得て失うことの描写に長けていれば最高です。しかし一番大事なのは読みやすいことです。この本はすべて満たしています。
・「択捉島で何が起きたのか」
日米開戦前夜、既にアメリカは日本が真珠湾に奇襲攻撃をかけることを知っていた。その情報を日本から本国アメリカに伝えたのはある日系人スパイだった。にもかかわらず…
こう書いてしまうと、非常にあっさりとしたストーリーだと思われがちだが、読者は著者の描写の妙に引き込まれて、自分がその場にいるような錯覚に陥ることだろう。
そして、手に汗握るに違いない。
名だたる賞をいくつも受賞した作品だけのことはある。
・「女でも泣けるんです。」
潜入、追跡、銃撃戦に暗号通信。男くささむんむんの冒険小説だから、男性読者のロマンを掻き立てる系で、女性はお呼びでないかしら?と思いながらも手に取ってみたら、そのボリューム(文庫本でもすごく分厚い)にもかかわらず、面白くてもう止まらない。ページをめくる度にどんどん引き込まれて、最後は切なくて胸がいっぱいに・・・。クライマックスではほとんど半泣きでした。
冷笑的なアナーキストのくせに、それでも何かを信じてる男、つまり、女性目線から言うと、近づいちゃいけないのは分かってるんだけど、惹かれずにはいられない危険な男、が主人公。
物語の展開や緻密さも、西にフォーサイスあらば、東に佐々木譲あり!と言い切れるぐらい、「これって無きにしもあらず?」と思わされるほど、一貫して臨場感とリアリティにあふれていた。また台詞や心理描写がとても自然で、読みながらすんなり頭の中で映像化できる。
・「何度も読んでます」
とにかく引き込まれます。3部作どれも面白いですが特に2作目のこの話が好きです。主要な登場人物がすべてどこか影があり、一人一人強烈にキャラが立っていて一気に読めます。そういえば昔NHKで『エトロフ遥かなり』というタイトルでドラマ化してましたが、また映画かドラマにならないすかね。3部すべて。
・「航空史のIFに挑んだ力作」
もしも第二次大戦劈頭のドイツに日本の零戦があったら・・・という航空史のIFに挑んだ力作。書き出しの部分から「これはもしかしたら史実なのではないか?」と思わせる見事な筆致で、最後まで飽きることなく読み通せます。航空機や当時の国際社会の情勢などを綿密に調査している点も特筆に値するでしょう。幾多の苦難を乗り越えてドイツに向かう2機の零戦とそれに乗る孤高のパイロットという題材は航空小説の王道ですが、バッタバッタと敵機を撃ち落とす戦闘シーンの連続に陥っていないところに本書独特の魅力を感じます。
・「三部作の第一弾」
「エトロフ発緊急電」、「ストックホルムの密使」と続いていく三部作の第一弾です。共通点が多いですが、順番どおりに読まなくてもそれぞれ独立して読むことができます。
第一弾という事もあってか、後の2作と比べると若干構成に未熟さが感じられるように思います。私はこの作品を三部作の中では最後に読んだのですが、人物描写が他の二作と比べると劣っているように感じます。佐々木譲の三部作においては、歴史上の有名人物は小説の中で重要な役割を果たしません。誰の記憶にも残らないような無名の人々が中心とになり、話を進めていくのです。だからこそ読者としては、そのような無名の人々=主人公に引き込まれていくものだし、それだけに上手く描いて欲しいというものではないでしょうか。!
細かい事を書いてしまいましたが、内容は面白いです。読む価値は十分あります。
・「再燃してほしい」
近所の書店で「ローレライ、イージスにはまった人は次はこれを読みましょう!」と書いてあった。その二作品にはまりまくった僕はおもしろいかなあ?と思いながらも買ってみた。そして、またはまった。思っていたより約3倍は面白かった。第二次大戦中、零戦がベルリンに飛んだことがある?という疑問からスタートし、その過程が細かく描写されている。その作戦に奔放する男たちがとにかく熱い。キャラのよさは福井晴敏なみ。先にあげた二作品がベストセラーになる今、この作品はもう一度読み返されるべき名作だと思う。
・「フォーサイスはぶれない」
ハード・ボイルド系小説家の全員が目指す目標はフレデリック・フォーサイスのいまや古典となった作品群を越えることです、本書の著者も作家としての出発点は同じでしょう、もちろんいまだ遥かにおよばないわけですが、
しかし、初期の佐々木譲作品は娯楽小説としてはとにかく面白い、面白いにもかかわらず肝心なところでフォーサイスの並の作品にもおよばない最大の原因は著者には「大義」が分からないからです、著者に限らず著者を含む団塊の世代のほとんどに共通する価値観のなかでは「大義が理解できない」のだとおもいます、
フォーサイスの殆どの作品は大義に命を捧げた男達への挽歌です、良し悪しや善悪を超えて(なぜならそこには常に政治的判断、つまりイデオロギーが介入しやすいから)大義そのものに生きた主人公達の哀しみを骨太の物語として組み立てられたことがフォーサイスを超一流の大御所と呼ばせる所以でしょう、フォーサイス作品の主人公は戦略戦術で悩みこそすれ情緒的な女々しさのようなものは一切もちあわせていない、
したがってフォーサイス作品の基幹にある大義に生きる姿勢は決して揺らぐことはないからです、大義とは正確ではないが、人は戦うべき時には遠慮せずに戦うこと、といえるでしょう、評者には著者は戦後民主義教育の最初の落とし子たちである団塊の世代に多い空想的かつ情緒的平和主義者や空想的平等主義者のひとりに見えてしまう、
対して佐々木譲作品の主人公の女々しさはどうであろう、大東亜戦争前後の物語の中で彼らはじつに饒舌に戦後の左翼民主主義教育とまったく同じ歴史観を繰り返し披瀝する、一部に至っては戦後に左翼がまくしたて現在ではまったく一般に通用しなくなっている話題まで帝国軍人が長々と語ったりしている、現在となってはなおのこと物語の面白さをそいでしまっていることを作者は反省すべきであろう、
なお、本書の文体は初期作品ならではの堅いもので、その後の流暢な語り口とは別な作家のようである、
・「零戦は太平洋戦線だからこそ」
ストーリー自体はスケールも雄大ですが、私個人的には「零戦をヨーロッパに… 」という時点でNGですね。敵機の数と対空砲火の熾烈さは太平洋戦線とは比べものにならないですから、防御力の脆弱な零戦はヨーロッパでは通用しないというのが常識です。そこらを度外視して楽しむのがフィクションというものですから、私個人的な好みに合わないという事でしょう。
・「珠玉のハードボイルド」
作者は私の大のお気に入りで、どの作品も大好きですが、本作「夜にその名を呼べば」が最も好きな作品。舞台は雨の小樽。内容は復讐劇。10年以上前の作品にもかかわらず、古くささが全くありません。僅か半日程度の経過を描いてるに過ぎない核心部分は、緊張感でドキドキするほど。
ドイツ三部作や、最近の警察モノが著名な作者は、起承転結で言えば、「起承転」までの大きな転回に比べ、「結」の部分がやや弱いとこれまで思っていた。しかし、本作はいい意味で裏切られました。初めて呼んだときの読後感が忘れられません。
廃刊になってしまっていたので、売れ残った本作品がないか、近所の書店を探し回っていました。ヒギンズ作品でさえ廃刊が相次いでいる中、図書館でしか読めなかった本作を復刊したハヤカワの英断に感謝。
一人でも多くの方に読んでいただきたい作品です。
・「徹夜本かも」
17歳の少年にレイプ目的で妻と子供を殺害されそのショックから立ち直れず毎日つぶれるまで飲み続ける男、真鍋。警察官である夫にDVを受けついに息子を連れて逃げ出した女、祐子。長年連れ添った妻に出て行かれた、配管設備の工務店を営む中年男、波多野。この3人がひょんなところで出会い、物語は進んでいきます。
傷害事件にならない程度に計算して暴力をふるっていた警察官でDV夫の門脇が、妻を捜す過程でどんどん壊れていく様が不気味でした。
後味のよい、一気に読める徹夜本です。
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